~side隆弘~
「今日は家にいるの?」
台所で母さんが洗い物をしながら俺に話しかけてきた。
「その予定だけど・・・なんで?」
俺はコーヒーをマグカップに注ぎ、リビングの方へ向かう。
「さみしいね」
嫌みのように母さんは言う。
「クリスマスイブに家にいるのが?」
「そう。彼女の一人でもいれば出かけられるのに」
「悪かったな・・・」
俺はソファに座って、手に持っていたマグカップをそっとテーブルに置いた。
マグカップからは湯気が出ている。
「理菜ちゃんはどうしてるんだろうね」
「理菜は・・・どうなんだろうな・・・」
最近話すことが少なくなった大好きな人の名前。
俺はその言葉に少しビクッとしたが、それを表には出さないように平常心でい続ける。
「彼氏とかいるの?」
「多分いないと思う」
「多分って何よ」
母さんは苦笑した。
「俺は理菜のことを何でも知ってるわけじゃない」
それは一ケ月前に知ったことだ。
理菜の家に行ったあの日。
あの日に俺は実感した。
「そっか」
「うん」
俺は、まだ熱いであろうコーヒーが入っているマグカップを手にとって、口元へ運ぶ。
「誘わないの?」
「誰を?」
「理菜ちゃんを」
その言葉に、俺は口の中に入っていたコーヒーを吹き出しそうになる。
「ゴホッゴホッ・・・何で理菜を?」
少しむせる俺。
「好きなんでしょ?理菜ちゃんのこと」
「・・・よくご存じで」
反論はしなかった。
母さんのいい方が確信を持っていたみたいだったから。
母さんは分かりやすい人だ。
確信がない問いには、少し自信がなさそうな口調になる。
でも、自信がある時は、はっきりとした口調で諭すように言うんだ。
「だったら、アタックしようよ」
「無理だな。だって・・・」
俺はそこで口を紡んだ。
こんなことを言ってもしょうがない。
意味がないんだ。
最近の俺に対する理菜の態度。
それは今までとは天と地ほどの差がある。
彼女が俺を避けているのは一目瞭然。
理由は分からない。
でも、避けているんだ。
露骨なほどに。
俺が話しかけても、笑顔を見せることはない。
相槌を打ってくれる程度。
最初は具合が悪いとかそういう類いだと思った。
でも、同じことが一週間ぐらい続くと流石に違うと分かった。
それに、他の人の前では笑顔も見せるし。
俺は彼女に嫌われている。
だから、誘っても意味がない。
断られるのが目に見えているのだから。
負け戦ほど無駄なものはない。
当たって砕けろならまだ勝算はあるが、俺に至っては勝算が見えない。
意味のないことと無駄なことは時間と心を浪費する。
水面に映った月に小石を投じて、消そうとする。
それくらい意味のないこと。
バカげたことだ。
「だって・・・なにさ?」
「なんでもない」
俺はコーヒーをもう一口飲んだ。
「にがっ・・・」
なぜか、今度は苦く感じた。
「何もしないで諦めるんだ?」
まるでエスパーみたいに。
母さんは俺に問いかけた。
「・・・何も知らないくせに」
その言葉を聞いた母さんは、洗い物が終わったのか、水を止めて俺の方を向いた。
「あんたって、弱いんだね」
母さんが言ったその言葉が俺の胸に突き刺さった。
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ここで隆弘編!!
お母さんからの言葉を受けて、彼はどうするのか!!
あ、そういえばコメントでいただいた塾に関する件。
あれは、けっこう大変です。
頭いい人はすごく楽なんですけど、僕みたいな人は予習しなくちゃいけないので。。
国語ならいいんだけどなぁ・・・。
で、国語をやりたいので、掛け持ちを考えていますww
お金も足りないしww