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夢の中の世界は、一瞬でここが夢であると分かるような世界だった。
でも、『私』はそんなことには気づかない。
起きている冷静な『私』であれば、この境遇を見て、絶対あり得ないと苦笑する。
でも、これは夢の中。
あり得ないとされる世界をも現実のように作り出すもの。
それは、夢の中の世界の住人しかわからない世界。
その住人のほとんどは、これが夢だと気づいていない。
虚無を生み出す世界。
『私』は馬鹿みたいに舞い上がってしまう。
そんなような世界。
光に包まれた世界。
『私』の隣には彼がいた。
大好きな彼が。
憧れていた彼が。
そう。裕哉さんだ。
今回の夢は何か特殊なものだった。
『高橋理菜』という存在は別人。
私はそれを見ている第三者。
そんな存在。
だからかもしれない。
こうやって、この世界が夢であると自覚できるのは。
『私』はにこにこしながら彼と手を繋いでいた。
すごく嬉しそうな『私』
それを、ただ眺める私。
異様な光景だ。
『私』は私に気づくことはない。
そりゃそうだ。
私は存在していない。
姿かたちがあるわけじゃない。
あるのは、魂や心や感情だけ。
そんな何もできない。
この世界に干渉することができない私はただただ二人がいちゃついているのを見ているだけ。
何か・・・嫌な気分になった。
『私』が大好きな人と手を繋いでいるのに。
なぜか・・・。
きっとそれは、実感がないから。
いくら、『私』でも違う存在だから。
まるで他人なんだ。
私という体をしたまた違う人・・・・物。
その嫌な思いはどんどん膨張していって胸が締め付けられるように痛くなる。
光の世界の真ん中で仲良くしている2人が「うざい」
そこにいるべきはあなたじゃない!!
私なのに・・・。
・・・あれ?
私はなにを言っている?
諦めたんじゃないんだっけ?
もう、失った相手じゃないんだっけ?
・・・そう思ったりはした。
というより、諦めたと思った。
だけど、まだ断ち切れてないらしい。
重い・・・私。
その時、背景となっていた光の度合いが増していく。
増してまして・・・どんどん視界が奪われていく。
光は強くなれば、見えやすくなるものだと思っていたけど・・・。
そうじゃなかった。
一定の度合いを越えると・・・見えなくなっていく・・・。
完璧に光で一面に覆われた世界。
何も見えなくなってしまう。
それと同時に
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私は現実の世界に引きずり降ろされた。
見慣れた天井が私を迎い入れる。
光の明かりたちが、私に見やすいような適度な明かりを照らしてくれている。
私は、ソファから起き上がり「う~ん・・・」
と伸びをした。
「ふう・・・」
一旦落ち着く。
そして、夢のことを思い出す。
裕哉さんと『私』
ズキン・・・。
胸を締め付けられるような感覚。
またか。
これがなにを示しているかは容易に想像ができた。
嫉妬だ・・・。
付き合っていない相手にその言葉を使えるのか定かではないが。
そういう部類の感情だった。
だって・・・だって・・・。
彼は私のことを好きって言ってくれた・・・のに。
ピンポーン。
その時、私の沈んだ気持ちとは裏腹に高い音が誰かの訪問を知らせた。
誰だろ・・・。
重い足取りで歩く私。
ゆっくり・・・ゆっくり歩いていると
ピンポーン。
二回目が鳴った。
「五月蠅いなぁ・・・分かってるんだよ・・・」
私は悪態をつきながら、扉を開けた。
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