~side理菜~
「目腫れてるけど、大丈夫か?」
学校に着いて、席に座ったと同時に隆弘がそう話しかけてきた。
「目?そうかな・・・?」
「うん。なんかあった?」
「なんにも・・・」
平然を装う私。
だけど、それが不自然すぎると自分でも分かった。
だから、当然隆弘にもわかる。
「なにがあったんだ?」
「・・・言いたくない」
弱音とか相談とか。
私はそういう類いが嫌いだった。
される側は好きだ。
人に信頼されてるんだなって思うし、悪い気分はしない。
だけど、する側は・・・。
自分の秘密を暴露して、求めてもいない答えを出してくる。
私が求めているのは答えなんかじゃない。
その場にいるという安らぎ。
安心感。
それがほしいんだ。
だけど、誰もそれを分かってはいない。
みんな、自分が正しいと思う答えを出して、親身に受け答えをしてくれる。
それが一番迷惑なんだ。
ただ、聞いてくれればいい。
頷いていてくれればいい。
相槌を打ってくれればいい。
そんな人はいない。
みんなは助けを求めていると錯覚して答えを模索する。
いらない行為。
そんな、私に必要のない行為をしてくれる友達に私は絶対に相談をしたくない。
私は・・・そんな無慈悲な憐みを滲みださせて良き理解者になってくれるみんなを必要としてないないんだ。
そんな求めてもいない人たちに自分の秘密をばらすことほど愚かな行為はあるだろうか?
秘密ってのはとても崇高なもの。
大切なもの。
誰もが持っている心の内に閉まってあるもの。
その箱の蓋はパンドラの箱よりも硬く重いもの。
そんなにも・・・大事なものをみせるからには、それ相応の価値がないといけない。
・・・偉そうに語っている自分に嫌気がさして考えるのをやめる。
「俺にはいつも何かあったら相談してとかいうくせに自分のことになると一切話さないんだな」
「そうだよ。話してほしいの?」
「うん。理菜の助けになりたいんだ」
「助け・・・か。私には必要ないな」
「なんでだよ?」
「私は隆弘と違って強いから」
ニコッと笑顔を浮かべる。
「強いって・・・あの日・・・いや、なんでもない」
「何?」
「なんでもないよ」
彼が言おうとしたことは何だかわかった。
私が裕哉さんに振られて、今日みたいに傷心していたあの日のことだ。
あの日も私はすごく弱かった。
でも、傷心の意味が今日とあの日とは意味が違う。
あの日は好きな人に振られた綺麗な悲しみ。
今回のは自分の愚かさ。
汚い悲しみだった。
私は机に肘をついて隆弘を見た。
隆弘は手持無沙汰になったのか、私の机の上に置いてあったシャーペンを手にとってペン回しを始めた。
右手の中で蠢く私のペン。
私はそれをただ眼で追う。
私には到底できない芸当だった。
彼は親指の付け根で4回転させた後、それを掴んで私の目の前に置いた。
「理菜は・・・弱いよ」
苦笑・・・いや。
それとはまた違った小さな笑みを浮かべながら言った彼は、今の私の心境すべてを悟っているみたいで何の反論もできなかった。
「うん・・・」
だから、私はそれしか言えなかった。
自分が弱いことを知ってる。
自覚している。
だけど、他の人の前では強くあろうとしている。
強く見せている。
弱い自分をみせるのが嫌いだから。
情けなくなってしまうから。
弱い自分・・・。
誰かの前でだけは、ありのままを出したいって思ってはいるけれど・・・。
それは無理だって分かっている。
相談と同じ。
どうせ・・・慰めてくれるから。
慰めなんていらない。
今。
傷心な私がほしいのは・・・。
私の性格すべてを理解して、そばにいてくれる人・・・。
「俺が傍にいてあげるよ。いつもの強い理菜に戻るまで」
彼は真剣な表情でそういった。
ねぇ・・・隆弘。
私がその言葉にどれほど救われたと思う?
雨の日もそうだった。
君は私の一番の理解者で・・・優しい人だ・・・。
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あ~・・・。
やっと、30話ぐらいで予定していたところまで来たww