~side坂本~
彼女とのキスは・・・甘美なもの。
とは少し・・・いや・・・。
大きく違うものだった。
彼女は涙を流して、じっと僕を見た。
それがどういう意味なのか・・・。
何となくわかった気がした。
彼女は「ごめん・・・」
一言そう謝って、「トイレ行ってくる」
逃げるように僕の前からいなくなった。
その瞬間に・・・悟った。
僕らの関係はここで終りなんだなと。
キスをしたことで・・・。
この楽しかった・・・幸せだった一時が終わったんだなって。
キスをしたのがいけなかったことなのか。
きっとそういう訳じゃなくて・・・。
僕が相手だったから。
それが理由なんだろう。
彼女は僕のことを好きではなかった。
好きになろうとしていてくれただけで。
まだ・・・全然僕のことを見てくれていなかった。
途中からそれに気づいていた。
だから、焦ってしまったのかもしれない。
彼女を逃がさないようにって。
僕のそばに置いておくために。
だけど、それが裏目に出た。
彼女は僕のことが好きでなかったからこそキスを拒んだ。
彼女のことを分からなかった僕に・・・好きでいる資格はあるのだろうか?
・・・わかんない。
ただ、一つ言えることは・・・。
僕は彼女とは離れた方がいいってこと。
これから僕らの進むべき道は一緒ではない。
二人で歩いていくことは不可能。
別々に・・・。
時間を共有してはいけない。
僕はそれを望んではいけない。
絶対に。
僕は携帯電話を取り出した。
そして、彼女にメールを送る。
『別れよっか』
それだけ。
絵文字もなければ顔文字もない真っ黒なメール。
送った後、「送信しました」と表示された時。
別れようと言ったセリフに少しだけ違和感を思えた。
僕は彼女と・・・恋人らしいことをしただろうか?
自分が奥手すぎて何もできていない。
送ったメールの内容に後悔した。
だけど、今さら変えるのもなぁ・・・。
そう思い、僕は携帯をベッドの上に無造作に放り投げて、椅子に座った。
空は綺麗な満月が照らしていた。
少し不快だった。
夜空に照らす満月は綺麗で美しい。
その美しさには一点の曇りもない。
それが羨ましくて。
僕の心には曇りばかりで光なんてものは見えない。
荒んだ心には歯止めが利かなくなってうっすらと見えていた明るさまでも奪っていく。
そして、真っ暗になって・・・。
僕はただそこで打ちひしがれる。
自分の無力さに嘆きながら。
ふいに、携帯のバイブ音が鳴った。
彼女からのメールの返信が届いたらしい。
僕は、力なく携帯を手にとって受信ボックスを開いた。
ドクン・・・。
心臓の鼓動が早くなったのを感じた。
『ごめんね。ありがとう・・・』
対照的な二つの言葉が並べられていた。
この言葉は不思議にも矛盾しない言葉だ。
二つを、同じ一文の中に入れても、意味は通る。
特にこういう場合は。
僕はその二つに込められた意味を胸にしまって、メールを削除した。
故意に初めて消したメール。
それが・・・お別れのメールだった。
そして、これが僕と彼女との間の最後のメールとなったんだ。
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こんばんわ。
更新遅くなりました。。
今度から、予約時間を決めて、同じ時間に毎回更新しようかなとか考えています。
今日は坂本編でした。
今後坂本君は現れるのか・・・。
未定ですww
明日は、51話「「救われた」」です。