決意はした。
だけど、それに比例して体が動くほど私の気持ちと体は一体化はしていない。
別々のもの。
そう捉えるのが正しい代物だ。
手に汗が溜まっていくのを感じた。
恋人握りから、私は普通に握り直す。
そして、彼の手を引っ張って、人気のないところへと誘導する。
っていう想像。
手はまだ恋人握りのままだ。
歩きながら私たちの会話はない。
無言のままゴールのない道のりを無意味に歩いていく。
歩けば歩くほど。
私の鼓動は速くなっていく。
どうしよう・・・どうしよう・・・って。
動こうとしない私の体。
ヘタレか・・・おのれは・・・。
内心肩をくすめて苦笑する。
その時だった。
彼が私の手を引っ張った。
「ふぇ!?」
私は驚いて素っとん狂な声を上げた。
そんなん私の言葉を彼は無視して、人気のないところへと連れ出そうとする。
だけど、悲しいかな。
人気のないところなんて、どこにもなかった。
そんな彼が向かった場所。
そこはデートのロマンチックさもない場所だった。
地下駐車場。
そこには数台の車しか止まっていなく、人影もほとんどなかった。
コツ・・・コツ・・・コツ・・・。
私と彼の足音だけが響き渡る。
音が伝わりやすい場所。
誰もいないせいで、自分たちの足音の音は全体に響いて私たちの耳に入ってくる。
ふいに、彼は立ち止まり、私を見た。
「高橋さん・・・」
決意を決めた彼の今の表情を見ていると・・・。
草食系。
そんな言葉が一番似合わないような男の子みたいだった。
眼はまっすぐと。
私だけをとらえていた。
頑張ってるなぁ・・・。
そんなことを思う。
一生懸命に出してきた勇気。
その勇気は彼にはとても似合わないものだけれど。
すごく有難くて・・・。
「坂本君・・・」
二人とも考えていることは同じだった。
私と彼。
きっと・・・同じような気持ちではないのだろうけど。
それでも・・・。
一緒・・・一緒だ。
彼は、私の腕を引っ張り自分の方へよせて私抱きしめた。
温かい・・・。
男の人の温もりを感じた。
見た目以上に大きな体。
すごく安心感があった。
包容力があった。
一瞬だけ夢心地に浸るような・・・。
だけど、その幸福の瞬間はすぐに終わって・・・。
彼は私から体を離す。
そして、手をぎゅっと握って。
顔を近づけてくる。
私は顔の角度を変えない。
彼が変えてくれたから。
少しだけ傾いた彼の顔が私の方へ近づいてきて・・・。
キスってどんなものなんだろうか?
重なる直前。
もう一度そんな疑問を持った。
キスをすれば何かが変わる?
キスにどんな意味がある?
いろんな疑問を浮かべ、頭に描きながら・・・。
私は、ゆっくり目を閉じた。
それと同時に・・・。
私と彼の唇が重なった。
唇の触れる感触。
伝わる温度。
彼からの率直な・・・一途な気持ち。
その、すべてに・・・すべてに・・・。
私はその夜、声を殺して・・・泣いた。
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ん~・・・。
って感じですww
明日は49話「脚本通りの結末を」です!