練習が終わって、私たちは部室に戻って着替えを始めた。
「理菜、一緒に帰ろー」
友達がそう言って私を誘ってくる。
「あ~・・・ごめん。今日はこの後寄る場所あるから」
手を合わせて彼女に謝る。
「え~どこに行くの?ついて行っちゃダメ?」
「いや・・・それはさすがに・・・」
「私には言えないような場所なの?」
少し不審がる顔をする彼女。
・・・まずい。
「そうじゃなくて・・・」
言葉が見つからない。
なにか・・・良い言い訳を・・・。
自分の頭の悪さにいらっとする。
何も思い浮かばない自分に。
「まあ、いいや。じゃあ、また明日の部活でね」
彼女は着替え終えて「ばいばい」
と私に手を振って、部室から出て行った。
私は、制服のリボンをつけて、スカートをはいて。
帰る準備ができた。
携帯を開く。
すると、メールが一件届いていた。
少しだけしてはいけない期待をしてしまう。
裕哉さんから・・・。
まあ、そんな願いは簡単に・・・。
すぐにうち消される。
相手は当たり前、至極当然のように坂本君からだった。
彼とは恋人になった時に交換した。
あの帰り道に。
『近くの公園で待ってる』
絵文字ゼロ。
不器用な感じのメールだった。
好きな人に送るメールじゃないだろ。
私は苦笑しながら携帯を閉じて、彼が待っているであろう、学校のすぐそばにある小さな公園に向かった。
「お疲れ様」
「お疲れ」
カップルの先輩二人に声をかけられた。
二人は仲良さそうに手を繋いでいる。
「お疲れ様です。先輩たちはこれからデートですか?」
「いや、違うよ。帰るだけ」
女の方の先輩が答えた。
「デートしないんですか?」
「今日は彼の方が用事があるんだって」
彼の方を横目でにらみながら、先輩は答える。
「そうなんですか?」
男の先輩の方を見ながら聞いた。
「うん。ちょっとね」
渋い表情を浮かべる彼。
「じゃあ、またね。理菜ちゃん」
「はい。また」
先輩たちは握った手を離すことなく、駅の方へ歩いていく。
幸せそうだなぁ・・・。
そんなことを思う。
幸せになりたい。
それは誰もが願うこと。
だけど、願うだけで全員がなれるわけじゃない。
苦しみ・・・辛い人生を歩む人もいれば、幸せや幸福ばかり訪れる人もいる。
どちらになるか。
それは自分の努力と・・・あとは運次第。
恋を幸せと捉えるひとがいるなら、その人は幸せにしてくれる・・・。
大切と思える・・・。
そんな人と出会うことができれば、きっとその人生は幸せなんだろう。
だけど、逆に、出会うことができなかったら、幸せには程遠い人生を送ることになるのだろう。
私は・・・大切だと・・・大好きだと思える相手に出会えた。
だけど、結ばれることなかった。
私は運が悪い?
いや・・・違う。
運とかそういうものではない。
相手の気持ちに届いてなかった。
努力が足りなかった・・・のかも。
相手に振り向いてもらえるような努力が。
好きだと・・・この人しかいないと思っていた相手を失った私は幸せになれるだろうか?
公園に着く。
彼の姿はベンチにあった。
ベンチに座ってはいない彼。
横になって目を瞑っている。
私は、彼の頭の方に空いていたスペースがあったので少し座って、彼の寝顔をじっと見る。
「君が・・・私を幸せにしてくてる?」
答えは返ってこない。
すーすーと寝息が聞こえるだけ・・・。
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更新遅くなりました。
すいません。
デート編は明日です。。