「ありがとう」
彼は満面の笑みを浮かべた。
その笑顔が私の胸を締め付ける。
ごめん。
心の中でそう呟いて、
「これからは恋人としてよろしくね」
「うん」
こうして、私たちは恋人になった。
どこにでもいる普通のリア充。
それの仲間入りを果たしたんだ。
本当の意味のリア充なのか。
それは分からないけれど。
とりあえず、形は・・・。
この日、当然の流れのように私たちは一緒に帰ることになった。
沈みかけている夕陽は、力なく私たちを照らしている。
もうすぐ完全に沈んで、月が見える。
そんな時間になっていた。
部活がない日にこんな遅く帰るのは初めてだ。
・・・男の子と二人っきりで帰るのも初めて。
制服で、恋人と下校する。
こんなシュチュエーションはみんなの憧れ。
一度はやってみたい。
そう思ってる人は多い。
私も例外ではなかった。
でも・・・。
なんかモヤモヤする。
嬉しい・・・というより罪悪感。
自己嫌悪。
この二つが私の胸の中に漠然と、当たり前のようにあった。
「ねぇ、坂本君」
「何?」
「坂本君は私のどこを好きになったの?」
唐突すぎる質問。
彼は「え!?」って驚く。
そりゃそうだ。
こんな質問をいきなりされたら困る。
そして、戸惑う。
私だったら、答えたくないし。
「どこが好きって言われてもなぁ・・・」
「答えられない?」
「う・・・ん・・・。強いて言うなら性格です」
「強いて言うなら・・・って」
私は苦笑した。
「だめ?」
「そんなことないよ」
踏切で私たちは足を止めた。
カンカンカンカン。
甲高い耳障りな音とともに、遮断機が下に降りてくる。
垂直になったと同時に、遠くから大きな音が聞こえた。
数秒経って、電車が通っていく。
眼で追うのが難しいスピード。
私も坂本君もただそれを呆然と眺めている。
何の意味もなく。
人口が生み出した大きな風を真に受ける。
突風。
もしも、自然でこの風が吹いたなら、台風を予想するだろう。
それほどまでに強い風。
その風を受けながら、少しだけ・・・考える。
自分が今やっていること。
それはどういうことで、どんな意味があるのか。
考えれば考えるほど、愚かだって思う。
馬鹿だって思う。
利口になれって思う。
それでも、私は最善を尽くした。
そんなことを思う。
きっと、未来の私が過去の私を思い出した時に、最善ではなかった。
そう怒鳴りつけて、罵って、嘆く。
そうなることがなんとなくわかる。
矛盾してる?
うん。そうかも。
電車が通り過ぎていき、遮断機が上がる。
私たちは止めていた足をまた動かして前に進む。
二人並んで、ゆっくりと。
彼の手が少しだけ動くのが視界の隅で見えた。
その手は、何かをあきらめるように元の場所に戻って・・・。
また同じ行動を取って。
彼がなにをしたいのか、なんとなくわかった。
分かっても、私はなにも行動を起こさない。
理由はなにもない。
なんとなく。
ただ・・・。
私は裕哉さんの顔を思い浮かべた。
彼がとなりにいて・・・彼氏だったら。
迷わず私は自分から手を伸ばすだろうな・・・。
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この話、ほんと終わる気配が見えませんww
前回とか、ここらへんで詰まってきていたんですけどね。
まだ、九月。
明日もまだ九月中の話です。