33話 嘘 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side理菜~


夏休みが終わって、また学校が始まった。


今は九月。


過ごしやすい秋。


と同時に、少しずつ肌寒くなってくる季節だ。


彼から降られた傷が癒えていない私は、とぼとぼと新学期が始まる学校への道のりを歩く。


どうすれば・・・この傷は治るのだろうか?


諦める。


そうすることが一番いいんだと分かっている。


でも・・・。


それは難しい話だ。


『好き』


彼からそう言われているのだから。


「家が近かったらなぁ・・・」


なんて空に向けてポツリとつぶやいた。


無理な願い。


現実を見なくちゃいけないのに・・・。


どうすれば、忘れられる?


いや、忘れるのは無理だろう。


初恋の人だし・・・。


じゃあ、やっぱり諦める方法を考えなくちゃ・・・。


頭をフル回転させる。


・・・まぁ、浮かぶはずもない。


信号が目の前で変わって赤になる。


私は横断歩道の前で立ち止まって、青になるのを待つ。


車が私の横を通り過ぎていって、その風で私の髪がなびく。


私は髪を一度かきあげてため息をついた。


信号が青に変わって、また歩き出す。


木々の葉の色は次第に緑から茶色に変わっていく。


そんな木を見ながら時の流れを実感する。


裕哉さんと会ったあの頃の木は緑だった。


緑から茶色に変わるまでに、私は振られて・・・。


色々な感情の変化があって・・・。


「あはは・・・」


感傷に浸っている自分に苦笑。


学校初日になにを考えながら登校してるんだか・・・。


「おはよ」


その時、後ろから肩を叩かれた。


私はびくっと体を反応させて後ろを振り向く。


「隆弘か」


「不満?」


「驚いたんだよ。肩叩いてくるから」


「さみしそうな背中が見えたもんで」


「そうだった?」


「うん。また何かあったのか?」


「いや~・・・まだ引きずってるだけ」


「なにを?」


「あ・・・」


私は視線を逸らす。


隆弘に言ってない。


裕哉さんのこと。


好きな人のことを・・・。


「なに?」


怪訝な顔で私を見る隆弘。


「なんでもない」


「それが一番気になるんだよなぁ・・・」


「気にしないで」


「もしかして、あの日のこと?」


「あの日って?」


「雨にぬれてた日」


鋭いなぁ・・・。


「違うよ」


平然に嘘をつく私。


だけど・・・


「その日のことなんだ?」


「だから違うって!!」


「理菜の嘘は分かりやすいんだよ」


「な・・・」


「顔に出る」


「そうかなぁ・・・?」


みんな、私の嘘には気づかない。


小さなことでも大きなことでも。


親でも、親友でも。


なのに、毎回隆弘だけは気付く。


「嘘。顔にはほとんど出てないよ」


「じゃあ、なんでわかるの?」


「秘密」


嘘。


それは、バレてしまえば、意味のないものだが・・・。


バレなければ真実になる。


そう誰かが言っていた。


私の嘘は隆弘相手ではすべてが意味のないもの。


でも、他の人には真実になっている・・・?


なっているのなら・・・。


私が嘘をつくのが上手いのなら・・・。


一つ・・・諦めるためのいい手段を思いついた。


それで、諦められるかは別だけど・・・。


私は、自分のために・・。


苦しみから解放されるために・・・。


一つの決意をした。




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今日は理菜編でした。


理菜の思い浮かんだこととは?


話の流れ的に分かる人もいると思いますが・・・。