32話 好きの意味 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「二週間前から」


「けっこう最近だな。どうして急に?」


「いや・・・付き合ってみたいなって思う人ができた」


「特定の人物は作らないって言ってなかった?」


質問攻め。


こんなことしている自分が笑える。


自分の恋愛事情を一切話さず、相手のことばかり聞く自分・・・。


「まぁ・・・そうなんだけど・・・」


「なにがあった?」


「何があったってほどじゃないんだけど・・・好きになったんだよ」


初めて見る。


こいつが、少し照れながら笑うところ。


いつもはクールに恋のあり方について語っていたのに。


今じゃ、ただの恋する青春少年だ。


「らしくない言葉だな」


率直な感想を言うと翔太は


「だよな~」


と苦笑して、下を向いた。


あいつの視線は自分の足。


その足は居心地悪そうにブラブラと上下に動いていた。


「前は彼女なんて作るような感じ一切なかったのに」


「好きになったんだからしょうがない」


彼の視線は僕を見たり、足を見たり・・・。


落ちつきがない。


「初恋なのか?」


「ま・・・あ・・・。そうだな」


この歳で初恋。


こんな人は滅多にいないだろう。


それも、今までに何人とも付き合ってきて・・・


これだからなぁ・・・。


「で、相手は誰なんだ?」


「え・・・それは・・・」


彼は視線を斜め上に外す。


「言いにくい相手?」


「裕哉にはな」


「なにそれ?俺だけ?」


「そうお前だけ」


「尚更気になんじゃん」


「まあ、他のやつにも言いづらいかな」


「どっちだよ」


「他のやつに言いづらいのと、お前に言いづらいのは別の意味ってこと」


・・・全然わからない。


解けないなぞなぞをやっているみたいだ。


頭がこんがらがって、少しイラッとする。


「わからん。答えは?」


「言いたくないって」


「・・・じゃあ、僕の今の恋愛事情を教えるから」


「う・・・」


翔太の心が揺れる。


そして。


「わかった。俺の相手は・・・」


名前を言う瞬間、小声になった。


なるべく誰にも聞かれないように。


「・・・山口綾香」


・・・そういうことか。


僕には言いづらい理由。


納得した。


「どこが好きなの?」


聞いてみたかった。


僕が付き合っていた女の子。


飽きてしまった女の子。


好きじゃなかったけど、キスをして、触れ合って体を重ねた女の子。


可愛いって何度も思った。


ドキッと何度もした。


それでも・・・好きにならなかった。


だから気になる。


彼女と触れ合ってもない、ただ会話をしただけ。


遠くから見ていただけの翔太がどうして、綾香を好きになったのか。


「どこが・・・って」


翔太は困った顔を浮かべて、手持無沙汰だったのか、机の上に転がっていたシャーペンを手にとってペン回しを始めた。


「好きなとこないの?」


「そういうことじゃ・・・。ただ、好きって思ったから好きなだけで、『どこが』なんてものは存在しないんだよね」


「え~・・・それ好きって言わなくない?」


「そうか?じゃあ、裕哉の好きの定理ってなんだよ?」


「それを聞かれるとわかんないけど・・・・」


好きの定理。


僕はなぜ、初恋の人を好きになったのか。


今考えてみると、特別な要因はなかった。


気付いたら好きになってた。


中学になって、クラスが別れて。


彼女を意識するようになって。


だから、どこが好きと言われても分からないかもしれない。


翔太と同じように。


「だろ?そんなもんなんだよ。好きって気持ち自体曖昧。その人が好きって思ったらそれがすでに恋の始まりで・・・。人によっては、ここが好き!!ってはっきり言える人もいるとは思うんだけど・・・俺にはないってだけ」


「難しいな」


う~ん。と僕は首をひねる。


「傍にいたい。とか、頭によくその人の顔が浮かんだら、好きってことなのかも」


傍にいたい・・・か。


そう思ったことはあまりない。


だけど、頭によく浮かんでくるのは理菜さん。


僕は彼女のことをどう思ってる・・・?


翔太の言葉について考えながら僕はこの一日を過ごした。




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また、更新遅くなりました・・・。

最近何か疲れてたんですが、嬉しいことを言われたので少しだけ気分がいいですww