「二週間前から」
「けっこう最近だな。どうして急に?」
「いや・・・付き合ってみたいなって思う人ができた」
「特定の人物は作らないって言ってなかった?」
質問攻め。
こんなことしている自分が笑える。
自分の恋愛事情を一切話さず、相手のことばかり聞く自分・・・。
「まぁ・・・そうなんだけど・・・」
「なにがあった?」
「何があったってほどじゃないんだけど・・・好きになったんだよ」
初めて見る。
こいつが、少し照れながら笑うところ。
いつもはクールに恋のあり方について語っていたのに。
今じゃ、ただの恋する青春少年だ。
「らしくない言葉だな」
率直な感想を言うと翔太は
「だよな~」
と苦笑して、下を向いた。
あいつの視線は自分の足。
その足は居心地悪そうにブラブラと上下に動いていた。
「前は彼女なんて作るような感じ一切なかったのに」
「好きになったんだからしょうがない」
彼の視線は僕を見たり、足を見たり・・・。
落ちつきがない。
「初恋なのか?」
「ま・・・あ・・・。そうだな」
この歳で初恋。
こんな人は滅多にいないだろう。
それも、今までに何人とも付き合ってきて・・・
これだからなぁ・・・。
「で、相手は誰なんだ?」
「え・・・それは・・・」
彼は視線を斜め上に外す。
「言いにくい相手?」
「裕哉にはな」
「なにそれ?俺だけ?」
「そうお前だけ」
「尚更気になんじゃん」
「まあ、他のやつにも言いづらいかな」
「どっちだよ」
「他のやつに言いづらいのと、お前に言いづらいのは別の意味ってこと」
・・・全然わからない。
解けないなぞなぞをやっているみたいだ。
頭がこんがらがって、少しイラッとする。
「わからん。答えは?」
「言いたくないって」
「・・・じゃあ、僕の今の恋愛事情を教えるから」
「う・・・」
翔太の心が揺れる。
そして。
「わかった。俺の相手は・・・」
名前を言う瞬間、小声になった。
なるべく誰にも聞かれないように。
「・・・山口綾香」
・・・そういうことか。
僕には言いづらい理由。
納得した。
「どこが好きなの?」
聞いてみたかった。
僕が付き合っていた女の子。
飽きてしまった女の子。
好きじゃなかったけど、キスをして、触れ合って体を重ねた女の子。
可愛いって何度も思った。
ドキッと何度もした。
それでも・・・好きにならなかった。
だから気になる。
彼女と触れ合ってもない、ただ会話をしただけ。
遠くから見ていただけの翔太がどうして、綾香を好きになったのか。
「どこが・・・って」
翔太は困った顔を浮かべて、手持無沙汰だったのか、机の上に転がっていたシャーペンを手にとってペン回しを始めた。
「好きなとこないの?」
「そういうことじゃ・・・。ただ、好きって思ったから好きなだけで、『どこが』なんてものは存在しないんだよね」
「え~・・・それ好きって言わなくない?」
「そうか?じゃあ、裕哉の好きの定理ってなんだよ?」
「それを聞かれるとわかんないけど・・・・」
好きの定理。
僕はなぜ、初恋の人を好きになったのか。
今考えてみると、特別な要因はなかった。
気付いたら好きになってた。
中学になって、クラスが別れて。
彼女を意識するようになって。
だから、どこが好きと言われても分からないかもしれない。
翔太と同じように。
「だろ?そんなもんなんだよ。好きって気持ち自体曖昧。その人が好きって思ったらそれがすでに恋の始まりで・・・。人によっては、ここが好き!!ってはっきり言える人もいるとは思うんだけど・・・俺にはないってだけ」
「難しいな」
う~ん。と僕は首をひねる。
「傍にいたい。とか、頭によくその人の顔が浮かんだら、好きってことなのかも」
傍にいたい・・・か。
そう思ったことはあまりない。
だけど、頭によく浮かんでくるのは理菜さん。
僕は彼女のことをどう思ってる・・・?
翔太の言葉について考えながら僕はこの一日を過ごした。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので。
また、更新遅くなりました・・・。
最近何か疲れてたんですが、嬉しいことを言われたので少しだけ気分がいいですww