今日僕には彼女ができた。
その相手と相思相愛なのかということは別にして。
ただ、少なくとも相手は僕のことを好きだと思ってくれているらしい。
ありがたいことだ。
こんな僕みたいな人間を好きになってくれるなんて。
こんな・・・最悪な僕を。
夜中。
時間は深夜1時。
僕は、まだ都会の街中をうろついていた。
彼女はもう電車に乗って家に帰って行った。
というより、ダダをこねている彼女を帰らせた。
帰らせた理由は簡単なもの。
時間も時間だったから。
11時を回って、終電の時刻が近づいてきて。
これ以上いたら彼女が帰れなくなってしまって。
だから、帰ってもらうことにした。
彼女はまだ帰りたくないとか言ってたけど。
それはまずいと思ったんだ。
そのまま一緒にいたら・・・。
初日とは思えない行為をするかもしれないと思ったから。
僕らは結局キスもしないまま。
彼女は名残惜しそうにこっちを見ていた。
今度ね。
とか言って、彼女の頭を撫でた。
今思うと自分って大胆かも・・・。
なんて・・・。
1時を回ると、外はほとんど誰もいなかった。
みんなどっかしらの店に入っているのか、帰宅しているのか。
それか、大通りじゃなくて、脇道で酔いつぶれているのか。
ちょくちょく見る人は、大概誰かの肩に凭れかかって辛そうな表情やら
幸せそうな表情やら。
お酒に酔っている人の表情は様々。
あとは、援助交際なのか高校生らしき人と、サラリーマン見たいな人が一緒に歩いていたり。
男は、女の肩を抱いて歩いている。
夜の東京は今の日本の縮地図。
あまりいい風景ではなかった。
じゃあ、なんでこんなところを歩いているのか。
意味はあまりない。
家に帰りたくなかった。
それだけかも。
電車もなくなって帰る手段もない僕。
お金はある程度持ってきてはいるが、タクシーで帰れるほどのお金があるかと聞かれたら・・・。
ないと答えるしかない。
「ねぇ。お兄さん、うちのみせはいっていかな~い?」
お姉さんに声をかけられる。
・・・。
どう考えても、僕みたいな歳の人に勧誘していい店じゃないだろ・・・。
看板を見て思った。
「いいです」
僕は、素っ気ない態度で彼女の横を通り過ぎて行った。
僕は空を見上げた。
満月が見える。
欠けてない完璧な満月が。
今この満月を何人の人が見ているだろうか?
その人達は綺麗だ、とかいいながら見ているのだろうか?
てか・・・。
この時間。
それを見ながら、浸っている人は少ないだろう。
歩いていると、公園が見えてきた。
山口綾香といた公園とは違う公園。
あそことは違ったもっと小さい公園。
遊具もブランコと滑り台だけ。
閑散とした公園だった。
僕は公園の中に入って、木で作られたベンチに座った。
さすがに・・・。
僕は周りを見渡す。
この時間・・・公園には誰もいないか。
僕は、座りながらもう一度空を見上げて・・・。
眼を閉じた。
今日会ったことを思い出しながら。
山口綾香。
彼女とのデートを。
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明日は理菜編です。
ここが序盤の一番の大きな場所になります。
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