「ありがとね」
彼女はプリクラの一枚を携帯に貼った。
「なにしてんの?」
「携帯に貼ってるだけだよ?」
「やめてくれ・・・」
「なんで?」
「恥ずかしいじゃん・・・」
「これは、君が彼氏であるという証です」
躊躇いもなくそんなことを言える彼女がすごいなって思う。
時刻は10時を回っていた。
「けっこう時間やばくなってきたね。山口さん、帰らないとやばくない?」
僕は腕時計を見ながら言った。
「わたしは何時でも大丈夫」
「え?」
「親に連絡したから」
「なんて?」
「少し遅くなるって。小林君は大丈夫?」
「僕も・・・大丈夫かな」
「じゃあ、終電まで一緒にいてほしいな」
歩道の右はじ。
公衆の面前で彼女は僕の手を握る。
体温が伝わってくる。
彼女の手の方が温かい。
温もりが少しずつ僕へ移ってくる。
「山口さんの手・・・あったかいね」
「そう?てかさ、わたしたち恋人だし名前で呼ばない?」
「名前で?」
「うん。私は裕哉君って呼んでいいかな?」
「いいよ。僕はなんて呼べばいい?」
「綾香ちゃんで」
「本気?」
「冗談。綾香でいいよ」
「綾香・・・」
僕が彼女のことをそう呼ぶと彼女の顔が急激に赤くなる。
「凄い・・・照れるね・・・これ」
彼女は自分の頬を手の平で触る。
「自分でそれを指定したんじゃん」
「でも・・・好きな人から名前で呼ばれるって嬉しいなぁって」
僕は、今までの彼女から、性格面でチャラいって言われる。
優しいんだけど、見た目は真面目そうなんだけど・・・。
女の子苦手そうなんだけど、自分からは積極的に行く人じゃないんだけど・・・。
チャラいって。
その理由はきっとこれにあるかもしれない。
これはきっと癖。
・・・というより、無意識的に行われるもの。
僕は握っていた彼女の手を引っ張って僕の方へと寄せる。
そして、彼女を僕の胸の中にうずめて・・・。
優しく頭を撫でる・・・。
「裕哉・・・く・・・ん?」
理菜さんの時と同じような反応。
僕は何の返答をせずにただ優しく頭を撫で続ける。
彼女は僕に身を預けた。
体の力が抜けて、寄りかかる形になったんだ。
髪の流れにそって、ゆっくり・・・優しく・・・。
何度も・・・何度も・・・。
「なんか・・・安心する」
「そう?」
「うん。すごく。ただ少し不満かな」
「なにが?」
「手つきが慣れてるなぁ・・・って」
「そんなことないよ」
「3人以内なら嬉しいかな」
「2人目」
嘘をつく。
実際は4人目。
「じゃあ、嬉しい」
嘘は通ったようだった。
「・・・裕哉君好きだよ・・・」
「ありがとう」
公衆の面前であるということを僕も綾香も完全に忘れていた。
2人の空間は完全に。
孤立した空間・・・。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので。
いや~・・・。
非難浴びそうな展開ですねww
好きでもない女の子と付き合う裕哉。
理菜のことはどうするんだ!?
って感じですよねww
まあ、彼はその気持ちには気づいていないので。。