「ばいばい」
少し名残惜しそうな彼女は声のトーンを低めにして手を振る。
「そんな寂しそうな顔されると、帰りづらいんだけど」
駅の改札の前。
時刻は9時。
仕事帰りのサラリーマンがここの改札口を通っていく。
「じゃあ、もう少しわがまま聞いてほしいんだけど・・・いいかな?」
その言葉に僕はパスモを取り出すのをやめる。
「なに?」
彼女は僕の方に近づいてきて、袖を掴んで俯く。
その手は人差し指と親指だけ。
「もう少し、。一緒にいられないかな?」
山口綾香を前にして。
クラスのアイドルを前にして。
こんなことを言われて、『時間が・・・』なんて言えるだろうか?
無理だ。
言えるはずがない。
それに、この時間に帰るって言ったのはただの思い付き。
ただ、少し疲れたなぁ。
そんなことを思ったから言っただけ。
僕の親は時間に縛りをつけない。
何時に帰ってきても、朝帰りしても。
何日かいなくなっても。
どれも、連絡もしない。
それでも何も言われない。
「山口さんは・・・時間大丈夫なの?」
「私?私は何時でも大丈夫だよ」
彼女は時計を見ながらそういった。
「親、何も言わないの?」
「親・・・かぁ。どうだろ?心配してくれてるんだ?」
「一応ね」
「ありがと」
彼女は僕の袖をひっぱりながら駅から外に出る。
朝見た光景とはまるで違う。
同じ場所なのにこんなにも・・・。
空は明るくて、人が多かった場所。
だけど、今は暗闇に包まれていて、光る街中。
その光は、人工的なもので自然ではありえない輝きをみせる。
それらのコントラストが綺麗だ。
もっとも。
マンションの屋上とかから見た方がきれいだとは思うけど。
夜景はよく特集されたりする。
日本には三大夜景とかいうものもあったり。
人工の光を楽しむ。
それが今。
クリスマスが一番多いが。
夜の景色といえば星。
夜空の星は綺麗だ。
だけど、人工が織り成す輝きには勝てない。
その理由は簡単だ。
みられる場所が限られているから。
都会で、綺麗な星空を見ることなんてほとんどない。
だから、みんなの求める光は人工。
でも・・・。
僕は星空の方が綺麗だと思う。
人工の星は眩しすぎる。
今の僕にとって、人工の光は山口綾香。
そして、星は理菜さん。
そばにあって、いつでも見られる、彼女。
彼女の光は眩しすぎて眼が眩むほど。
そして、みんなが求める輝き。
理菜さんの場合は遠い。
遠い場所にあって、なおかつ綺麗さをいつでも確認できるわけじゃない。
彼女に会いたくてもすぐに会えるわけじゃない。
まあ・・・。
山口綾香にしろ理菜さんにしろ。
どちらも、僕にとっては眩しすぎて近寄っていいべき存在じゃないのかもしれないけど。
そう思っても、実際は輝く光が隣にいる。
その光は、僕をどんな世界に連れて行こうとしているんだろうか?
夜の都会。
人通りが徐々に減ってきて。
怪しい雰囲気が立ちこめる・・・。
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昨日ので、なかなか裕哉君の評価が下がりましたねw
彼は、デートの時いつもこんな感じです。
付き合ってきた人がすべて、好きな人ではないので。
もし、好きな人と付き合うことができたら・・・。
どんな気持ちで付き合うんでしょうか・・・?