59話 最低 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「キスして・・・大丈夫だった?」


莉乃が聞いてくる。


「・・・する前にその質問をしてくれよ」


「・・・忘れさせてあげたかったんだもん・・・」


「紗希のことを?」


「うん・・・」


莉乃は俯く。


「そんなんで・・・紗希のこと忘れられない・・・」


「じゃあ・・・どうすればいいの?」


「僕が紗希のことを忘れることなんてない」


「もう一年経つんだよ?」


「僕と紗希は小さいころからずっと一緒にいたんだ。その積み重ねがこの一年ごときで消えるはずがない」


「紗希ちゃんは?」


「え?」


「紗希ちゃんは忘れてるかもしれないよ」


嫌なことを言う。


ただ、その通りだった。


いくら僕が紗希のことを想っていたところで、紗希が想っていなければ恋は成立しない。


意味がない。


紗希は・・・どう想っているのだろう?


不安が募った。


もしかしたら、もう他の男と・・・。


その男は大介かもしれない。


あの夢のように・・・。


正夢・・・。


その単語が頭の中をめぐった。


・・・柄にもない。


そんな非科学的なこと・・・。


僕は苦笑した。


紗希・・・。


大好きな妹は今、誰が好きなんだろう?


まだ、僕のことを好きでいてくれてる?


前に聞いたことがある。


障害があるほど、そのせいで会えなくなるほど。


2人の気持ちは強くなっていく。


赤い糸は太くなっていく。


って・・・。


それが本当なら、僕らは前より愛し合ってることになる。


だけど、確認できる方法もない。


連絡なんて取れない。


その状況で信じられる?


妹が僕のことを好きだって言える?


・・・僕は最低な人間。


相手に確認しなくちゃ不安で仕方ない。


心が通じ合っているから・・・。


そんなことは綺麗事だって思ってる。


『人の心はうつろい・・・変わるものなんだ』


恋心も例外でない。


人が人生で好きになる人数は様々。


10人の人もいれば1人の人もいる。


紗希が他の人を好きにならない保証なんてどこにもない。


・・・なんて。


紗希が僕のことを好きで、僕が紗希のことを好きで。


もし、1年前のままお互いの気持ちがあったとして・・・。


いや、そうであってほしいんだけど。


でも・・・でも。


そうであったとしても、その先になにがある?


報われない恋。


会えない恋。


想ってても、2人は会うことすら許されてない。


そんな2人が想いあうことほど無意味なことはないんじゃないか・・・。


だったら、いっそ・・・。


僕はなにも言わず、ただじっと僕を見る莉乃の方に視線を動かした。


罵倒してほしい。


こんなことを考えている僕を。


『最低だ』って。


莉乃・・・君にも・・・。


そんなことを願う僕だけど、莉乃は。


何もかもを見透かしたような、澄んだ瞳で


「人間なんてさ、自分のいいように人を利用するもんなんだよ。だから翔君は正しい」


「僕・・・何も言ってない・・・よ?」


「わかるよ。全部」


ニコッと莉乃は笑った。


その微笑みの裏に・・・何が隠れてる?


「全部?・・・なんでだよ?」


「好きな人だから・・・」


ずるい言葉。


それを、簡単に、素直に言う莉乃もずるい。


紗希と僕はその言葉を言うのにどれほど悩み。


苦悩して。


想いを告げたのか。


計り知れないほど大変だった。


これがきっと、兄妹と他人の差なんだろうなぁ。


他人と付き合えば、どれほど楽に恋をできるんだろう?





にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

↑ ↑ ↑

押してください~!!

励みになるので。



時間がない!!


今日はテストです。


行ってきます!