58話 莉乃の想い | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

****************


「紗希」


紗希を呼ぶ声。


これは誰の声?


聞き覚えがあるけど、誰だか思い出せない。


「大介君」


紗希がその声の主の名前を呼ぶ。


ああ・・・。


大介だ。


紗希は走ってきた大介に抱きつく。


「好き」


そう言って紗希は大介にキスをした。


「俺も好きだよ」


大介は紗希を力いっぱい抱きしめて呟いた。


・・・。


最悪な光景。


一番見たくない光景。


これが夢だってことぐらい分かってる。


だけど・・・それでも。


嫌だ。


最悪なことを言おう。


『夢の中でさえ、紗希を僕のモノにしたい』


会ってない。


会えない相手なのに、そんな宣言をする。


こんな自分は変えたい。


紗希を想う自分が嫌いだ。


妹想う自分が・・・。


自己嫌悪に陥るけど、何も変わらない。


考えたって何か変わるもんじゃない。


新しい環境。


この環境で何も考えずのうのうと生きてる。


そんな時はすごく楽だ。


だけど、暇のせいで。


暇がゆえに考え込んでしまう時もある。


そんな時が一番つらい。


でも、最近は考え込むことは少なかった。


莉乃のおかげで。


話し相手がいるおかげで。


目の前の2人はまだ消えない。


僕の視界に入っているところでイチャイチャしている。


・・・起きよう。


*************


目を覚ます。


隣で莉乃はまだ眠っていた。


安らかな寝息を立てて。


そんな彼女に


「ありがとう」


そう一言呟いた。


「なにが?」


むくっと莉乃が起き上がる。


「・・・起きてたのか」


「起きてたよ」


ニヤッと笑う莉乃。


顔を近づけてくる。


「なんで寝たふりしてたんだよ」


僕は顔を背けながら聞いた。


「なんとなく。それより、なんでありがとうなの?」


「なんでもいいじゃん」


僕は立ち上がって、この場から逃げようとする。


「逃がさない」


莉乃は座った体勢のまま僕の裾を掴んだ。


「莉乃・・・」


僕はため息をつく。


「翔君さ・・・」


莉乃の表情が変わった。


真剣な表情。


「まだ紗希ちゃんのこと好きなの?」


「急になんだよ」


「気になったんだよ。で?」


「どうだろうな・・・」


「好きなんだね・・・。忘れられないんだ?」


「だったら?」


「私が忘れさせてあげる・・・」


「は・・・?」


莉乃の言葉に戸惑う。


この言葉・・・まるで麻衣みたいな・・・。


「座って」


裾を掴む力が強くなって、僕を強引にその場に座らせた。


莉乃の顔が近づいてきて・・・。


「キス・・・していい?」


耳元で莉乃が言った。


色気のある声。


ドキッとする。


「僕は・・・」


この一年で莉乃のこと結構好きになった。


だけど、到底紗希にはかなわない。


だからキスはできない。


麻衣の時と同じようにしたくない。


ごめん。


そう言おうとした。


しかし、その言葉が声として出ることはなかった。


僕の言葉を聞く前に莉乃は僕の唇をふさいだ。





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莉乃・・・。


莉乃のキスで翔はどう反応するのか?


この物語、70くらいで完結すると思います。