気付いたら朝になっていた。
手を繋いだまま眠っていたらしい。
それは、紗希も同じようで。
可愛らしい寝息が隣から聞こえる。
僕は、紗希を起こさないように手を離し立ち上がった。
さぁ・・・これからどうしようか。
このまま逃避行を続ける?
いや、それはだめだ。
2人で生きていくことなんてできないんだから。
じゃあ・・・。
家に帰る。
その選択肢しかない。
他の選択肢はない。
家に帰ったら、両親は何て言うだろうか?
・・・あまり想像したいもんじゃない。
少なくとも、今までと同じような生活を送ることはできなくなるだろう。
嫌・・・だなぁ。
なんて思う僕は子供だろうか?
僕はブランコに乗って、勢いよく足を前後させた。
何度かそれをやるうちに、揺れる幅は大きくなる。
昔は上までいきすぎると怖くなったものだが、今はそうでもない。
むしろ、このまま空を飛べるんじゃないかなんて思うぐらい。
まあ、思うだけ。
飛べるはずないんだけど。
人は飛べない。
重力に従って地面に落ちていくんだ。
人は叶わない願いを憧れのように持つ。
だけど、叶う、叶えようとは思わない。
それが普通。
空を飛びたい。
誰もが思うけど誰もが叶うなんて思ってない。
だけど、僕は。
叶うはずのない妹との恋愛を叶えようとした。
そして・・・叶ってしまった。
そのせいで、こんなにも苦しむわけで。
地面に足を滑らしてブランコの勢いを弱める。
そして、止める。
僕は紗希の方に戻って、優しく彼女の頭を撫でた。
「もう朝だよ」
そう言って。
「あ・・・おはよう。翔」
眠そうな顔。
この顔も好きだ。
紗希が見せるどんな表情も好き。
眼を擦って、小さな欠伸をする。
そんな紗希の頭をもう一度撫でる。
ゆっくり、何度も。
「・・・どうしたの?」
「何が?」
「ずっと頭撫でてるから・・・」
「これが・・・最後になるかもしれないから」
「え・・・?」
紗希の顔が凍りついた。
「それ、どういうことなの・・・?」
「・・・すぐにわかるよ。じゃあ、行こっか」
「どこに・・・行くの?」
「家に帰るんだよ」
「嫌っ!!」
紗希の大声。
叫び。
僕はそれを初めて聞いた。
紗希はその場に座り込んで、ここから動かないとでもいうような感じだった。
「なんでだよ?紗希・・・」
「帰ったら・・・私たち・・・もう触れ合ったりできなくなっちゃうかもしれないじゃん!!」
「そうだけど・・・それ以外にどうしようもない」
「私は・・・翔と・・・翔と・・・ずっと一緒にいたいっ!!」
紗希は涙を流す。
頬を伝って、地面に落ちる。
「僕だっていたいよ・・・」
「なら・・・!」
「紗希・・・僕らだけじゃ生きていけないんだよ?」
「でも・・・でも・・・」
「不公平・・・だよな。他のカップルは手を繋ぐこともキスをすることも許されてるのに。僕らだけは許されない」
「・・・うん」
「でも、何も変わらない。不公平だって嘆いたところで・・・さ」
「翔は・・・それでいいの!?私と離れちゃうかもしれないんだよ?」
「嫌だけど・・・そうするしかなんだよ」
僕は、自転車にまたがる。
紗希はその場から動こうとしない。
「紗希・・・お願いだから・・・」
「なんで、私たち・・・好き同士なのに・・・こうなっちゃうんだろうね」
「・・・」
僕はその問いになにも返すことがなできなかった。
紗希は「ごめん」
なぜか僕に一度謝って自転車の後ろに乗った。
そして、僕ら2人は、今までで一番憂鬱な家への帰り道を。
無言で、ゆっくりと・・・。
ペダルを漕いで進んでいく・・・。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので。
結局帰宅する2人。
エスケープには意味があったのか?
うん・・・あったはず!!
この先の2人の運命は・・・いかに!!
ストックが5に減少した!汗