50話 逃避行 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「・・・」


紗希は黙ったまま。


お母さんは泣き崩れて。


僕は・・・。


近くにあったカバンを手に取った。


そして、お母さんの横を通って玄関に向かう。


紗希の手を引きながら。


「どこ行くの!?」


お母さんと紗希の声が被る。


だけど、2人の声の大きさは対照的だった。


「さぁ・・・。わかんない」


僕は、ローファーを履いて外に飛び出した。


紗希も慌ててローファーを履く。


これはただの逃げだ。


何の解決にもなっていない。


だけど、ばれた時はこうしようって思ってたんだ。


自転車にカギを差す。


自転車にまたがり、どこへ行くあてもなくペダルを漕いだ。


紗希を後ろに乗せて。


シナリオはここまで。


ここから先はなにも考えていない。


とりあえずカバンの中には自分の通帳。


確か・・・30万くらい入っている。


どれくらいの逃亡資金だろうか?


考えながら苦笑した。


長期間の逃亡は難しい。


まあ、自分のやったことを思い返しながら、今後どう生きていくのかを考えるには十分な資金かもしれない。


どうせ、まだ未成年。


高校生。


なにをするにも不便な年齢で2人で生きていくのは無理がある。


だから・・・。


これはただの逃亡資金。


捕まるまでの。


「どこ・・・・行くの?」


紗希の不安そうな声が僕の耳に入る。


「考えてない」


僕は即答した。


「なんで、家出ちゃったの?」


「あのままで・・・普通にまた生活できると思う?」


「・・・」


紗希はなにも答えない。


そう。


知られてしまった今、今までのような平凡な生活は許されない。


両親は間違いなく僕達を隔離するだろう。


一切会えなくする。


もしかしたら、僕の方を一人暮らしさせるなり、親類の家に預けるという選択肢を取るかもしれない。


「紗希・・・」


「ん・・・?」


「僕はもう少しだけ・・・紗希といたい・・・」


「もう少し・・・?」


「うん・・・もう少し」


自転車をひたすら漕ぐ。


気付いたらそこは知らない道。


とにかく、家から遠くへ。


そんな気持ちで自転車を漕いで行く。


道なりに進んでいくと、公園が見えた。


僕はそこで自転車を停める。


外は少しずつ暗くなっていた。


公園に明かりが灯る。


誰もいない公園は閑散としていた。


遊具はあまりなく、シーソーとブランコ。


それから滑り台くらいだった。


僕は紗希の手を引いて、芝生があるところまで行った。


芝生の上で寝転がる。


「翔?」


そんな僕を不思議そうに見る紗希。


「紗希も寝てみな?」


「うん・・・」


紗希が僕の隣に寝る。


肌が触れ合う。


肩がぶつかる。


薄暗い空。


まだ、星は完璧には見えない。


あと1時間もすれば真っ暗になるだろうか?


「翔・・・」


「どした?」


お互いに空を見ながら話す。


「私たち、いつまでこうしていられるんだろうね?」


紗希が手を握る力を少しだけ強めた。


「さあね。考えたくもない」


考えてた。


さっきまで。


だけど、それを口に出すのが嫌だった。


制服のままの僕達。


傍から見れば、カップルが空を見ながら語ってるだけかもしれない。


しかし現実は・・・。


エスケープを始めた愛し合う馬鹿な兄妹だ・・・。





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あ~あww


どんどん沼にはまっていく二人です。


逃避行をして・・・


何の意味をあるのでしょうか・・・?