自転車の後ろに紗希を乗せて帰るのが最近の日常になってきていた。
「気持ちいいなぁ・・・」
後ろで紗希が呟く。
「そうか?」
「うん。大好きな人の後ろになってるわけですから」
「そりゃあどうも」
風を受けながら、僕は自転車を漕いでいく。
見知らぬ制服の学生が羨ましそうに僕達を見る。
「いいなぁ・・・彼女」
そんな声が聞こえる。
「やっぱ、彼女に見えるらしいね。私」
紗希が言った。
嬉しそうな声で。
「らしいな」
羨ましい・・・か。
なぁ、もし僕らの関係を知ってもそう言える?
・・・きっと無理だろうな。
羨ましいなんて思わない。
軽蔑的な視線を向けるか、同情的な視線を向けるか。
きっと、どっちか。
家に着く。
自転車を停めて家の中に入ろうとする。
だけど、鍵が閉まっていて入れない。
「あれ・・・お母さんいないのかな?」
「・・・そうっぽいね。珍しい・・・」
「紗希、鍵あるか?」
「あるよ。翔、持ってないの?」
「忘れた」
「・・・バカ。じゃあ、ちょっとどいて」
紗希が僕に変わりドアの前に立って鍵を差しこんだ。
ガチャ。
その音とともに、鍵が開いた。
僕らは家の中に入る。
「お母さんどこ行ったんだろうね?」
ローファーを脱ぎながら紗希が言った。
「ん~・・・買い物かな?」
「あんまりこの時間に行くことないのに・・・」
「なんかの特売じゃないの?」
「あ~・・・そうかも」
紗希は納得する。
僕の記憶にあった。
チラシに卵がタイムセールで安くなるとかなんとか。
僕らはリビングに向かう。
2人、ソファに座った。
テレビをつける紗希。
僕は紗希の肩に手を回した。
「・・・翔?」
僕は可愛らしい唇をふさぐ。
紗希は、すぐ僕から離れる。
「何してんの!?翔・・・」
「何って・・・キスだよ」
「そんなの分かってるけど・・・。お母さん帰ってきたら・・・」
「大丈夫・・・」
僕はまた紗希の唇をふさいだ。
大丈夫。
その言葉はどこからくるものなのか。
分からない。
確信なんてものはない。
というより・・・。
舌を絡める。
テレビの音が聞こえなくなっていく。
雑音が耳から消えていく。
紗希と絡めるいやらしいキスの音だけ。
それだけが僕の耳に伝わっていく。
五感で感じるキス。
紗希も、最初は戸惑っていたが理科室の時と同じように舌を僕の舌に当ててくる。
「翔・・・」
甘い声が紗希の口からこぼれた。
その時・・・。
僕らの幸福な時をを壊す音が聞こえた。
それは、僕らの破滅を示す音だった。
買い物袋が落ちて・・・卵が割れる音。
グシャ。
こんな感じの音。
でも、僕に聞こえた音は違った。
ガシャン。
窓が割れるような音だった。
僕と紗希は、反射的に体を離した。
「あなたたち・・・何してるの・・・?」
お母さんの失望に似た声。
「なんでも・・・ないよ」
僕はそう答える。
意味もないのに。
紗希はなにも言わず体を震わす。
「何でもないって・・・。今・・・見てたのよ。私・・・」
「キスを・・・?」
「そうよ。翔・・・紗希。あなたたち、兄妹なのよ?分かってる・・・?」
お母さんの声が震えている。
信じられないのだろう。
いや・・・信じたくないんだろう。
今、目の前で起こっていた光景が。
「お母さん・・・僕ら・・・分かっててキスしてたんだよ・・・」
「信じたくない・・・信じたくない・・・!」
お母さんは何度もそう呟いて膝から床に崩れ落ちた。
久しぶりに見た。
お母さんの涙を。
「ごめん・・・」
僕はそれしか言えなかった。
ただ、わかってる。
謝ったところで、なにもかわらないってこと。
これからの未来に、希望がなくなったってこと・・・。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので。
ばれちゃいましたね。
まあ、リビングでキスしてる2人が悪いですね。
もう少し・・・用心しないと。
あ~!
アクセス数上がれ~ww
なんか、上がる方法ないですかね?ww