48話 いつか | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side翔~


今日は七夕。


願い事を短冊に込めて星空を見上げる日だ。


だからといって、特別学校がなくなることはない。


普通に登校して普通に授業を受けて。


平凡な毎日と同じ。


繰り返していく日常の1ページ。


それがめくられるだけだ。


特別なんてものはなにもない。


織姫と彦星なんて・・・。


そんなものは存在しない。


所詮は神話。


今日は晴れている。


その神話があったとして。


2人は橋を渡って会えたことになる。


なんて。


信じない僕がそんなことを考えてもしょうがないことだけど。


昼休み。


僕は誰もいない屋上で弁当を開けた。


いつも通りのお母さんが作ってくれた弁当。


基本的には昨日の残りのもだけど、朝早く起きて作ってくれたものもある。


それが当たり前でいつも通りで。


だからこそ、感謝しなくちゃいけない。


人は当たり前のことには感謝しない。


普通だって思っているから。


でも、ある時気付く。


それがなくなった時に。


それがいなくなった時に。


その存在の大きさに。


僕にとって母親がいるのは当たり前。


紗希がいるのは当たり前。


この二つはどちらもいなくなっては欲しくないもので。


でも・・・。


僕はいつか失うことになる。


だから、今・・・。


僕は空を見上げた。


「紗希・・・お母さん・・・ありがとう」


柄にもないことを呟く。


キーンコーンカーンコーン。


昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


もうすぐ5限が始まる。


・・・めんどくさい。


僕は、力なくその場に寝転んだ。


そして、目を閉じる。


真っ暗な闇の中で浮かぶ顔は紗希の顔。


笑顔で笑う紗希。


その笑顔を見ると・・・。


大好きだ。


そう言いたくなる。


抱きしめたくなる。


ガチャ。


「・・・授業始ったけど?」


ドアが開く音と同時に声が聞こえた。


僕はその声で眼を開いた。


「・・・麻衣」


「久しぶりだね」


ニコッと笑顔を浮かべる麻衣。


けど、その笑顔は少しぎこちない。


「作り笑顔・・・無理すんなよ」


僕は上半身を起こして、壁に座りながら寄り掛かった。


麻衣は、立ったまま隣で壁に寄り掛かっている。


「・・・ばれた?」


「ばればれ」


「自信あったんだけどな。作り笑顔」


「・・・きっと女優には向いてないな」


「多分・・・翔君にだけだよ。こんなにうまくいかないの」


一条の風が僕らの体を通り過ぎていく。


すり抜けるような弱々しい風だ。


その風で麻衣の髪がなびく。


「ごめんな・・・」


「別に・・・謝ることじゃないんじゃない?」


「なんで?」


「誰を好きになろうが・・・誰を振ろうがその人の勝手じゃん」


「・・・ほんとにそんなこと思ってる?」


僕は、手元にあった小石を拾い上げてそれに向かって思いっきり投げる。


「嘘。思ってない。当たり前じゃん」


「妹と別れろって思う?」


カラン。


僕の目の前に小石が落ちてきた。


「思うよ。まあ、それはないって思ってるけどね」


「それはわかんなくないか?」


「分かるよ。翔君と紗希ちゃんが別れる時。それは・・・」


「それは・・・?」


麻衣は空を見上げる。


「2人が会えなくなった時・・・かな」


「・・・どうだろな」


僕も空を見上げる。


「いつか、翔君と紗希ちゃんは織姫と彦星になるかもね」


麻衣のその言葉に僕はなにも返答せずに、ただ星の見えない空を眺めていた。




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が、なれない!!


う~ん・・・。