「どう?ショック?」
「ショック・・・ではないけど」
複雑そうに紗希と翔君を見る大介君。
なんか、不思議な絵だ。
というより嫌な絵かも。
好きな人がキスしてるのを遠くから見てる2人。
・・・あはは。
「ねぇ・・・大介君」
「なんだ?」
「紗希ちゃんのこと諦めるの?」
「・・・は!?」
驚いた表情で私を見る。
「好きなんでしょ紗希ちゃんのこと?」
「・・・何で知ってんだ?翔から聞いたのか?」
「聞いてないよ」
「じゃあ、なんで?」
いつの間にか、翔君たちに向けられていた視線は私の方に移っていた。
それに気づいて私も視線を大介君の方に変える。
キスをして抱きあっている『カップル』から。
「わかるよ。そりゃ。大介君は自分の利益のためにしか動かないから」
「なんか、俺嫌な奴ってイメージ持たれてる?」
「別に。ただ、私のためだけに動いてくれるような男の子じゃないかなって」
「だから、俺が紗希ちゃんのこと好きだとでも?紗希ちゃんと翔を離すためにお前を利用した・・・・そう言いたいんだ?」
「ご名答。その通りだよ」
私は悲しい笑みを浮かべた。
「ふ~ん・・・」
「当たりでしょ?大介君?」
「どうだろうな」
言葉を濁らしながら、近くにあった石ころを蹴飛ばす大介君。
それが、肯定を意味している。
「紗希ちゃんをあきらめる予定は?」
「・・・ないよ」
「じゃあ、今からあの二人を止めに行けば?」
私は冗談交じりにそう言った。
「無理だろ。あそこまでしたら・・・もう止まんねぇよ・・・きっと」
2人を見る大介君の表情は切なそうで・・・。
いつも見る、得意げで余裕を持った彼からは想像がつかなかった。
「じゃあ、どうやって紗希ちゃんを奪う予定?」
「あの二人はずっとは続かないからその時に奪うさ」
「ずっと・・・続くかもよ?」
「冗談。あの二人は兄妹だぜ?」
大介君はありえない。とでも言いたげな表情を浮かべた。
「兄妹・・・でも」
あの二人が選ぶ結末は、きっと他の人と付き合うことなんかじゃない気がする。
翔君も紗希ちゃんも。
今は漠然と付き合ってる。
そして、お互いが離れたくないって思えば思うほど。
他の人と付き合うなんて選択肢はなくなっていく気がするんだ。
「兄妹で付き合うなんて・・・間違ってる」
「へぇ・・・それが大介君の本音?」
「いや・・・どうだろうな。ただ羨ましいだけなのかもしれねぇ」
「え?」
「あの二人が。自分の気持ちに素直になれたあの二人が」
「・・・?意味分かんないよ」
「分かんなくていいんだよ。これは俺の過去の話だから」
「大介君の過去かぁ。気になるな」
「・・・教えねぇよ」
「え~・・・つまんない。恋愛関係?」
「そう・・・かもな」
大介君は天を仰いだ。
その時のことを思い出すかのように。
「聞きたいなぁ。大介君の恋愛。たくさんの女の子を連れている大介君の」
「そこまで連れてないんだけどな」
「でも、気になるじゃん。女たらしの大介君の恋愛」
「気になんな」
「え~・・・」
私は頬をふくらます。
これは自然と。
狙ってやったものじゃない。
・・・狙ってやる女の子もいるらしいが、私はそんな器用じゃないし。
「じゃあ、一つだけ質問に答えてやるよ」
ため息をつきながら大介君は言った。
勝った。
私はそう思いながら、何を聞こうか考える。
「一つかぁ・・・」
「早くしろよ」
「じゃあ、今まで好きになった人数は?」
聞いた後に、違ったかな。
なんて思ったが・・・。
「2人」
そう即答した彼に驚く。
即答。
迷いがない答えであり、興味深い人数だ。
紗希ちゃんともう一人。
この質問でよかったかもしれない。
「紗希ちゃんと・・・誰?」
「二つ目の質問は受け付けてねぇよ」
大介君は視線を翔君と紗希ちゃんの方に戻した。
その頃2人は、手を握りながら愛を誓い合っていた。
固く・・・固く・・・。
重い愛の誓いを。
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明日は、大介の過去について少し触れます。
全部はまだ触れません。
明日のタイトルは『奏絵』です。
お楽しみに☆