30話 一線を越えて | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「ここ、絶景だと思わない?」


紗希が言った。


坂道の上の方、ガードレールに体重を預けながら海を見る。


「うん。けっこう近くに海があるもんなんだな」


「知らなかった?」


「全く。紗希は知ってたのか?」


「知ってたよ。たまに、一人でブラブラ自転車漕ぐ時があるから。その時にたまたま見つけた」


「そうなんだ」


広大な海は視界には収まりきらないほどの大きさ。


沼とか川とかとは違って澄んでいて、綺麗だ。


「砂浜の方までいかない?」


紗希が言った。


「うん、いいよ」


僕は、近くに止めた自転車に乗る。


紗希が荷台に乗ってきて、僕は自転車を走らせる。


下り坂。


ブレーキを軽く握り少しづつペースを落としながら走行する。


「何、その安全運転?」


「いや・・・歌であるじゃん。長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて、ブレーキいっぱい握りしめて・・・なんとかって」


「ああ・・・。私は、勢いよく下りたいな」


「・・・わかったよ」


僕はブレーキを握りしめていた手をハンドルだけに持ち替えて猛スピードで下っていく。


「わぁ・・・速いね」


「紗希のリクエスト通りだろ?」


「うん。ありがと」


下り坂が終わったところで僕は自転車を止めた。


「なんかあっという間だったね」


「そりゃあ、あのスピードだったからな」


僕は自転車の鍵を抜き取り、砂浜に降りるための階段を下りる。


砂浜への第一歩。


いきなり、ローファーに砂が入った。


「翔・・・!ちょっと待って!」


急いで降りてくる紗希。


僕はそんな紗希を無視して海の方へ歩いていく。


制服。


こんな恰好で来る場所じゃない。


そんなことはわかっているけど・・・。


さっきまで波が来ていた場所まで行ってみる。


だけど、次に来た波は弱くここまで届かない。


「何してるの?」


紗希が横に立って僕の手を握った。


「何も・・・」


僕は紗希に笑顔を見せる。


波の音。


風の音が交互に聞こえる。


「ねぇ・・・翔」


「ん?」


大きな波が来た。


その波はさっきとは比較にならないもので。


ザアァァァ。


僕らの足元まで来て、通り過ぎていく。


ローファーの中が水浸しになる。


・・・冷たい。


「私たち、恋人だよね?」


「うん」


「だったら・・・」


紗希は一度下を向いた後・・・。


「キスしたい」


そう言った。


恋人なら普通で当たり前の行為。


ごく自然な行為。


こんな宣言してまですることでッもない。


流れの中でできるものだ。


だけど、僕らは特別。


普通の恋人とは違う。


簡単にはできない。


麻衣は・・・簡単にあっけなく僕にキスをした。


それは、他人だから。


でも・・・兄妹だと・・・。


法律では、禁止されているのは結婚。


キスすることは禁止されてはいない。


違法ではない。


なら、すればいい?


それも違う。


なぜ、法律で禁止されていないのに兄妹がキスをしないか。


そんな前例がほとんどないのか。


それは、道徳的であり当たり前だから。


しないことが普通だから。


「だめ・・・かな?」


「キス・・・したら、兄妹の一線を完全に越えるね」


僕は苦笑した。


「越えてもいいじゃん。私たち・・・恋人なんだから・・・」


「そうだね」


僕は紗希の肩に手を乗せて、そっとキスをした。


波が・・・また僕達の足元を濡らしていく・・・。


この波にいつか・・・僕達は浚われていくのかもしれない。





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昨日の記事なんですが、誤字あったので直していたら、


公開をしなくて、下書きにしてしまいました。


夜中に見てくれている方、申し訳ありません。


夜に直していたので・・・。


明日は紗希編。


明後日、し明後日は大介編、麻衣編に一話ごとに変わります。


書きかたいところがあるので。


sideを作ると物語自体はすすまないんですが、


これはこれで大事なので・・・。


是非読んでください!


そして、もう30話です。


まだ終わらないですが、これからもよろしくお願いします。