学校に着いて、私たちは一時お別れとなる。
学校で、今日やらなくてはいけないことが一つあった。
教室に入る。
「おはよ」
由衣が笑顔で私に手を振った。
「おはよ」
私を手を振りながら近くに行き、由衣の隣に座った。
「今日の一時間目なんだっけ?」
「音楽。移動教室だよ」
「ありがと」
「月曜の最初から音楽は憂鬱だよね~」
由衣はため息をつきながら教科書を机にしまう。
「だね」
私は相槌を打ちながら違うことを考えていた。
言うなら・・・二人きりになるなら・・・。
ここしかないな。
私がしなければいけないこと。
それをやらなくちゃ・・・。
HRが終わって一時間目が始まろうとしている。
みんなが音楽室へ移動する。
廊下へ出ると、篠崎君の後ろ姿が見えた。
・・・一人だ。
よし。
私は小走りで彼の方へ行き、袖を掴んだ。
篠崎君は怪訝な顔で後ろを振り返り、私だと分かると、表情を崩して笑顔を見せた。
「話が・・・あるの」
控えめな声で私は言った。
これで・・・分かる人は分かる。
OKなのか振られるのか。
「わかった・・・今?」
「今・・・じゃだめ?」
「・・・大丈夫。じゃあ、音楽サボろっか」
篠崎君は教室に戻り、机の上に教科書を置いた。
教室には私たち二人だけ。
キーンコーンカーンコーン。
始業のチャイムが鳴った。
もう、みんな音楽室にいるだろう。
「で・・・話って?告白の返事かな?」
「うん・・・そうだよ」
「待ってたよ」
苦笑しながら誰かの机の上に座る篠崎君。
「遅れてごめんね?」
「ああ・・・いいよ。それで答えは?」
ドクン・・・ドクン・・・。
これは答えを待つ篠崎君の心臓の音ではなくて、私の心臓の音だ。
「ごめん・・・篠崎君とは付き合えない」
「そっか。好きな人とかいるの?」
「え・・・」
「言えない?」
「え・・・と・・・」
何て言えばいいかわからない。
嘘は苦手だ。
しかもこんな突然だと特に。
「いい子だね。やっぱ」
すべてを知っている。そんな感じだった。
「どういう意味・・・?」
「付き合ってる人・・・いるんだよね?だけど、その人の名前は言えない。だから戸惑っていた。その人とは付き合ってちゃいけないから。それに、嘘は嫌いだから」
この人は・・・何を知ってる・・・?
「付き合ってるんだよね?お兄さんと」
「なんで・・・そのことを・・・」
「あ、やっぱり」
「やっぱり・・・?」
いよいよわけわからない。
「確信なかったから。ただ、今ので確信したよ」
「確信って・・・。気付いたのはいつ?」
「今日の朝。お兄さんと2人乗りしてたでしょ?」
「なんで知ってるの?」
2人乗りは学校が近くなってきたところでやめた。
さすがに学校のみんなに見られるのは嫌だったから。
変なうわさを立てれるかもしれないし。
一緒に登校。
それだけ。
それなら自然。
そう思ったから。
「電車・・・あの電車に僕・・・乗ってたんだよね。そんでやることなかったから外見てた。そしたら、見たことある人が二人乗りしてたから。動体視力がいいんで誰だかすぐに分かったよ。まあ、好きだからってのもあったけど。」
「・・・」
「2人乗り・・・兄妹でってあんまりないじゃん?少しはいるかもしれないけど。好きな人いるのが言動で分かったし。だからもしかしてと思ってカマかけてみた。そしたら、案の定引っ掛かってくれたけど」
「引いた?」
私は聞いた。
私の秘密を知ってしまった人に。
「別に。誰が誰を好きになろうとそのの人の勝手だと思うよ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「結婚はできないけどね」
「う・・・ん・・・」
「まあ、俺からして見ると有難いよ」
「え・・・?」
「兄が相手なら・・・付け入る隙があるからね」
「それは間違いじゃない?」
私は即答する。
「なんでだよ?」
「お兄ちゃんだから・・・付け入る隙がないんだよ」
力強い言葉。
決意がこもった言葉。
「そっ・・・か。それでも・・・俺はまだ諦めないから」
篠崎君は、机から降りて私のほうへ近寄ってきた。
そして、私の頭の上にポンと手を置いて
「いいよ・・・な?」
私の返事を聞かないうちに、篠崎君は教室から出ていった。
・・・諦めない・・・か。
篠崎君に知られてしまった私と兄の関係。
・・・。
翔は誰かに知られているんだろうか?
広まれば広まるほど・・・。
2人が引き剥がされていく気がする・・・。
↑ ↑ ↑
押してくれると嬉しいです!!
この回が一番書いてて納得いかない回でした。
篠崎君がなんかなぁ・・・。
てか、色々あり得ない気がしてww
明日は翔編です。