18話 何かが壊れた音 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side麻衣~


デートの時間が終わるのはあっという間だった。


まあ、楽しい時間って終わるのが早く感じるもんだしね。


毎日が楽しい人は、早死にするのかも。


電車の中で二人とも無言。


会話はない。


私は今日の楽しかったこと、一つ一つを思い返す。


ジェットコースターで手を繋いだり、お化け屋敷でしがみついたり。


翔君に触れることの一つ一つが嬉しくて・・・。


一番記憶に残ったのは観覧車かも。


私は目を閉じてあの瞬間のことを頭の中に浮かべた。


向かい合って座る二人。


翔君はこの空間に慣れないのか、そわそわしている。


そこで私はいいことを思いつく。


「ねぇ、翔」


「何?」


「観覧車のバランス崩していいかな?」


「は・・・?」


翔君はわけがわからないという顔で私を見た。


「だから・・・」


私は翔君の隣に座って・・・


「こういうことだよ」


機体が少し揺れたと同時に手をそっと握った。


翔君の顔が一気に赤くなる。


私は翔君の頬にキスをして「好き・・・」


そう呟いた。


すると翔君は私の方を見て


「ありがとう」


そう言った。


ただ、君のあの時の表情は複雑な感じで。


きっと紗希の顔が脳裏に浮かんだのかもしれない。


それでもいい。


いつか・・・。


いつか、私が一番になればいい。


そう思った。


だから、嬉しかった。


「ありがとう」


その言葉だけで。


電車が揺れる。


私は翔君の手を握った。


観覧車の中と同じように。


すると、観覧車の時とは違って翔君は私の手を握り返してくれた。


ドクンドクン・・・。


心臓が高鳴る。


この手が・・・。


紗希ちゃんと繋ぐ手。


そう思うと、早く翔君を手に入れたいそう思った。


誰にも渡したくない。


私だけの翔君にしたい。


自己中だと分かっていてもそう思った。


前は、見ているだけでよかった。


そこから一緒にいるだけで。


なのに、今は手を繋ぐ。


それじゃないと満足できなくなってきている。


次へ次へと行くたびに・・・。


どんどん自分がわがままになっていく。


最寄り駅に着いて、ここでお別れだな・・・。


そう思っていたけど、翔君は手を繋いでくれたまま自分の家とは逆方向の私の家の方に来てくれた。


・・・っ。


これがさらに私の「欲張り、我儘」を刺激していく。


「翔君の家こっちじゃないよね?」


私は聞いた。


「ああ・・・そうだけど。家まで送っていこうかなって」


「え・・・それは嬉しいけど、もう夜遅いし早く帰った方が・・・」


この言葉は気遣いでも何でもなかった。


ただ、私自信を抑えるためのもの。


次に私が出るであろう行動に先手を打って止めるために。


「こんな夜道に女の子が一人で歩いてる方がよっぽど問題あるし」


「・・・でも・・・」


早く帰って・・・。


私のことを気にしないで・・・。


「麻衣・・・なんかいつもと違うよ?」


鈍感・・・。


ほんと翔君はなにも分かってない。


だから私は正直に言う。


「怖いんだ・・・」


「怖いって・・・?」


「私自身が壊れてしまいそうで・・・」


「意味が分かんない」


「翔君が好きすぎて・・・。焦ってるんだよ。今はこうして手を握ってくれるけど。また紗希ちゃんの方へ行っちゃうんじゃないかって」


「焦ってるって・・・俺は紗希を忘れようと・・・」


「そんなの・・・できないと思う。できるなら私は焦らない。翔君を私だけのものにしたい。だから・・・」


好きな人のことを簡単に忘れることができない。


それは人間の道理であり、必然。


特に、毎日会うなら尚更。


振られるまだまだしも、告らないんだしね・・・。


だから・・・。


だから焦ってる。


翔君を私だけのものにしたい・・・。


さっきまでは手を繋ぐだけ・・・そんなものは今はもうない。


欲張りが絶頂に達して・・・。


バチン。


私の中の何かが壊れた音がした。




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初の麻衣編いかがだったでしょうか?


この後、どういう心境でホテルに入り・・・。


翔にしようと呟いたのか・・・。


麻衣のけなげな頑張り・・・見届けてあげてください。


あと、更新遅くなってすいません。。