「なぁ・・・翔。お前、やる気あんのか?」
「ごめん・・・」
昨日、決意したはずなのに朝からこれだ。
紗希がちゃんと学校に来たのか心配になって教室までいく。
いきなり何をやっているんだか。
「次からちゃんとやれよ?」
「うん・・・」
三時間目は移動教室だった。
大介と一緒に理科実験室に向かう。
その時、目の前にいたのは・・・。
「紗希・・・」
遠くにいた最愛の妹の名前を無意識に口にする。
「翔、分かってるよな?」
大介は僕にしか聞こえないくらい小さな声で言った。
「うん・・・」
紗希との距離が近くなる。
そして・・・目の前。
「翔・・・!」
笑顔で僕に微笑みかける紗希。
もしこれが、あまり仲のよくない兄妹だったら、こんな話しかけたりはしないだろう。
笑顔になったりはしないだろう。
だけど、紗希は僕のことをいい兄だと見てくれているから・・・。
逆に辛い。
いっそ、憎々しい目で僕を見てくれたら・・・。
諦めることは容易だったかもしれない。
僕は、紗希の方を見ずに大介だけを見るようにする。
そして・・・通り過ぎる。
途端に胸が苦しくなる。
「見た・・・?」
「ああ・・・」
「紗希の顔。すごく悲しそうに見えた・・・」
一番見たくない顔だった。
笑顔だけを見ていたかったから。
「だな・・・あれはもしかすると・・・」
「ん?」
「いや・・・なんでもない」
大介は何か言おうとしたが、やめる。
「なんだよ。それ、凄い気になるんだけど?」
「聞かない方がいいぞ」
そう言って、大介は理科室のドアを開けた。
何を言おうとしていたのか。
それは僕には全く分からない。
理科室に入ると、麻衣が手をふって「こっちこっち~」
笑顔で僕達を呼ぶ。
「相変わらず、明るいな」
僕がそう言うと、大介は
「ある一定の条件がそろった時だけだよ。あんなに笑顔になるのは」
意味深なその言葉。
「ある条件?」
「・・・わかんないのか?」
あり得ない。そうでも言いたげな顔で僕を見た後
「お前・・・ダメだな」
苦笑した。
「・・・なにがだよ?」
何でも分かっている大介に何にもわからない僕。
大介が羨ましく思えた。
「俺はよっぽどお前の方が羨ましいけどな」
「・・・心まで読むのか?」
「お前の考えてることは分かりやすいってだけだよ」
人を小馬鹿にするような言い方。
少し腹が立つ。
「悪かったな・・・」
僕は少し膨れっ面で麻衣の隣に座った。
「喧嘩?」
「喧嘩・・・ではない」
僕は教科書を机の上に広げた。
「そういえば、翔君って妹いるんだよね?」
唐突に麻衣が聞いてきた。
「急になんだよ?」
「いや、なんとなく気になってさ」
僕は、シャーペンを取り出してペンまわしを始める。
「まあ・・・いるよ。一年生に」
「そうなんだ。同じ学校?」
「そうだよ」
「へぇ・・・」
そう相槌を打った麻衣は少し複雑な表情を浮かべていた。
何でかは全然わからないけど。
この会話を大介が聞いていたら、また「分からないのか?」とか言われそうな気がするので、あえて、わかったとでも言っておこう。
キーンコーンカーンコーン。
3時間目の始業のチャイムが鳴った。
↑ ↑ ↑
押してくれると嬉しいです!!
麻衣の初登場です。
これで、今回登場するであろうほとんどの登場人物がでそろったわけですが・・・。
今回の話は、あんまりぐだぐだやらずに、速い展開でやってみようかなと思っています。
あ~・・・眠いww