広がる闇の中で誰か一人。
寂しげに立っている人がいた。
その人は私を恨めしそうに見ている。
誰だろうか。
少し遠いのではっきりと顔は見えない。
近づいていく。
だんだんと顔が見えていく。
そして、見えた顔。
「私・・・」
そう。
自分だった。
後ろから、楽しそうな声が聞こえて、私は後ろを振り向く。
そこには、手を繋ぎながら楽しそうに話す祐二と晴香。
テニスで輝きを放っている佳純。
そっか。
私はもう一度『自分』を見た。
この『自分』恨めしそうに見ていたのは私じゃなくて。
この三人。
幸せそうなこの三人。
すべてがうまくいってそうなこの三人。
親しい人への嫉妬。
「最悪・・・」
この言葉は『自分』に向けたものではなくて、私に向けたもの。
だって、自分自身そう思っているのだから。
幸せがほしい。
けれど、それは願ったところで手に入る物ではない。
プライスレス。
お金で買える物でもない。
急に・・・。
右手に温かい何かが乗った。
私は自分の右手を見てみる。
けど、その右手が視界に入る前に・・・。
*************
私は夢から目を覚ました。
そして、一番最初に目に入ったもの。
それは・・・
「椎名君・・・」
彼の顔だった。
隣には佳純もいる。
右手が妙に温かい。
私は上半身を起こして、右手を見ようとするが、全く体が動かない。
しょうがないので、首だけを動かしてみてみる。
そこにあったのは椎名君の手。
彼の手が私の手を握っている。
また体温が上がる。
「大丈夫?」
心配そうに聞いてくる椎名君と佳純。
「あ、うん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
私はさりげなく椎名君から手を離した。
「それにしても、ついてないね。エレベーターの中で停電って」
佳純は肩をすくめて苦笑した。
「あ・・・」
思いだした。
そうだ。さっきまで私はエレベーターの中にいたんだった。
それが急に保健室って・・・。
私は無理に上体を起こして
「あの後・・・どうなったの!?」
そう聞いた。
「あの後・・・って?」
「私が意識を失った後!!」
「ああ・・・あの後、もう一度目を覚まして普通に話してたじゃん。覚えてないの?」
「それは、一回目でしょ!?二回目だよ」
「二回目?そんなのないけど・・・」
「はぁ!?」
意味がわからない。
私には、椎名君の胸に額を当てたあたりからの記憶がない。
だから、当然そこで意識を失っていたはずだ。
「強いて言うなら、保健室に来て藤崎さんを寝かせたところで意識を失った・・・ってのが二回目かな。でもそれは寝たって言うんじゃない?」
「それまでは、私は意識あったの・・・?」
「うん。なんかおかしかったけど、立って色々してたじゃん」
「色々!?」
私と佳純の声が重なった。
「何、色々って!?」
佳純は身を乗り出して興奮気味に椎名君に迫る。
「いや・・・だから色々」
椎名君はその光景を思い出し、頬をほんのり薄紅色に染めて斜め上を向きながら首をかいた。
乙女か。おのれは・・・。
そう心の中で突っ込みつつも・・・。
彼の表情を見て思ったこと。
私は熱で自我をなくしている間に椎名君に何かをやらかしたんじゃないだろうか・・・。
「だからそれ何~?」
「それは・・・」
困り顔でチラッと私を見る椎名君。
なんだ・・・。
私はなにをしたんだろうか・・・。
いくら頭を考えても何も出てこない。
私の記憶の引き出しの中は空っぽだった。
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いやいや~ww
最近、ストック書くのをさぼって8個から5個まで減りました。
大学始まるっていうのに・・・。
10くらいためとかないと・・・。
とりあえず、亜美は保健室に運ばれたということで。
亜美と椎名君。
うまくいけばいいですね~。
スーツの件ですが、明日公開する・・・かもですww