~side亜美~
「亜美!亜美!」
誰かの声が聞こえて、私は目を覚ました。
「ふぁあ・・・佳純・・・なに?」
「何じゃないよ。次の授業は体育だよ?寝てる場合じゃないよ」
「眠いんだよ~・・・」
私はそういって机に伏せる。
「・・・この教室は男子が着替えに使うんだよ?」
「あっ・・・」
私は、その言葉で正気に戻る。
そして、着替えを手に持って佳純と隣のクラスに移動する。
「いつも授業中寝てるよね」
佳純がブレザーを脱ぎながら言う。
「バイトが忙しすぎて・・・よっと・・・」
私はスカートを脱いで、体育着のズボンを履いた。
「高校生がバイト三つも掛け持ちってどうなの?」
「そんなことより佳純・・・早く着替えて」
下着姿のままの佳純に思わず突っ込む。
「ああ・・・うん」
「佳純は女の子としての自覚があるのかな?」
ロングヘアーで黒髪。
清楚な感じで大人っぽい。
私はよく、可愛いとかアニメみたいとか言われていたが
(自慢ではない)
佳純は真逆な・・・外見。
そう外見だけだ。
中身は天然な女の子。
だから、尚更男の子にモテる。
中学の頃は晴香。
高校になって佳純。
私の周りはすごい。
晴香も可愛いし、佳純なんてモデルやってるらしいし。
私なんか・・・。
自分の手の平を見る。
そして苦笑。
女の子とは思えないほど・・・手がボロボロ。
いくら、アニメみたい!とか可愛い顔立ちだよね。
とか言われたところで、何にもならない。
お金が入ってくるわけではない。
お金を手に入れるためにはバイトしかないんだ。
中学までやっていた一番手っ取り早く嫌な方法。
あれはもうやめた。
高校になって、自分でバイトができる歳になってまでやることではない。
やめる。
浩平にそういった時、あいつは簡単に引き下がった。
わかった。
そう言って。
不気味なぐらい簡単に。
卒業してから1年と9カ月がたった。
この間、一度として浩平とは会っていない。
何にもしてこない浩平。
あいつの性格を考えると・・・。
ありえない。
けど、実際にそうなっている。
だからこそ怖い。
あいつがなにを考えているのかわからないから。
そんな中で一つだけ。
あいつと最後に会った日。
別れ際に見せたあいつの顔にぞくっとした。
昔、一瞬でもあいつに恋心を抱いた自分に愚かだと思った。
そして、あいつが発した言葉なのか、自分の中で勝手にその言葉を想像したのかはわからない。
あいつの最後の言葉が、頭にかすかに聞こえたんだ。
『新しいおもちゃを見つけたから』って・・・。
それが、どういう意味を持つのか。
容易に想像がついた。
それが、もしあいつ自身が発した声ならば。
もしかすると、誰かが私の「代わり」になってるのかもしれない。
いや、これからなるのかもしれない。
あいつは、長期間にわたって相手を口説く。
そして、モノにした途端に本性を現す。
口説いて、手に入れるまでをゲームだと思っている。
それまでは適当な女で遊んで。
本命だけは念入りに。
最後は逆らえないようにして。
犯しても自分を好きでいてくれるように。
好きにならなかったら、金でどうにかして。
そんなことが現実的にできるとは思えない。
私は簡単にお金でつられたけど。
でもあいつはそれをしようと動き出しているはずだ。
誰かが・・・。
私みたいになっているのかもしれない。
あいつの金とルックス。
口説きのうまさがあれば。
この想像はかなり前に持考えた。
けど、私は浩平を止めようとは思わなかった。
私は自分勝手。
「亜美~行こ~!」
着替え終わった佳純が私を呼ぶ。
「うん!」
ボロボロでも。
辛くても。
疲れても。
あのころに比べれば到底幸せな今。
この今を失わないために私は自分の代わりに誰かが傷ついても構わない。
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佳純(かすみ)が出てきました!!
晴香の方は愛美で、亜美の方は佳純です。
予定では、登場人物はあと一人か二人・・・ですね。
佳純の苗字は前原です。