――― 3年後 ―――
高校生になって一年が過ぎた。
今は高校二年の冬。
祐二も亜美も私も。
それぞれ、違う道を進んで今を生きている。
「高校生・・・か」
中学生のあの頃は高校生になっている自分なんて想像できなかった。
憧れてた高校生活。
それが、今目の前に広がっている。
けど、想像していたのとは少し違ったけど。
甘酸っぱい恋愛があるわけではない。
マネージャーとして試合の勝利を祈ってるわけじゃない。
ただの一生徒として平凡に毎日を過ごしている。
そう考えると。
中学の時の方が楽しかったかもしれない。
なんて思う。
祐二を好きになって。
亜美が、祐二と付き合って。
それに私が嫉妬して。
まるで昼ドラみたい。
私は内心肩をすくめて苦笑した。
本棚から分厚い一冊の本を取り出す。
その表紙にはがさつな文字で『アルバム』と青い蛍光ペンで書いてあった。
たしか、これを書いたのは小学生のころだっけ。
字が汚い。
私は、本を開いて一枚目のページを見る。
小さい頃の私。
赤ちゃんのころだ。
今の面影とか全く分からないくらい小さなころ。
二枚目のページを開くと、幼稚園の頃の写真があった。
このころの記憶は微かにあった。
祐二と2人で映っている写真。
満面の笑み。
今。
もし、2人で写真を撮ったとしたら、こんな表情で撮ることなんてできないだろうな・・・。
いや、できるか。
私次第で・・・ね。
私は途中のページを飛ばして写真が貼ってある最後のページを開いた。
私と亜美と祐二。
この三人で映ってる写真。
私と亜美は、卒業証書を持って笑顔でピースしている。
それを呆れ顔でみる祐二。
これが、私たちが三人で映っている最後の写真。
三人一緒でいた最後の時間・・・。
卒業式が終わってから、祐二には全く会っていない。
メールもほとんどしていない。
亜美とは、たまに遊んだりする。
けど、高校の友達と遊ぶことの方が多い。
新しい環境に身を置くことによって。
ずっと一緒にいた人も。
親友も。
会う時間がなくなり、徐々に離れていく。
これは仕方がないこと。
「せっかく・・・仲良くなれたのにな・・・」
あの日・・・。
私が屋上に祐二を呼び出したあの日。
結局私は、祐二に告白をしなかった。
理由はとても簡単なこと。
私に勇気がなかったから。
ただそれだけ。
亜美のためにとかそんなことじゃなく。
単純に、私自身が祐二が離れていくのを想像した時、『好き』って言葉が喉元で止まってしまったんだ。
言わなかったら後悔するとか。
亜美への嫌がらせとか。
色々考えてきたのに。
たくさん悩んできたのに。
最終的には、自分の弱さが言わない方を選んだ。
どうせ、高校生になって祐二と会うこともほとんどなくなるって分かっていたのに。
それでも、祐二には心の隅で、私のことをおさなじみの親友。
そう思っていてほしかったんだ。
「晴香~!もうすぐ学校へ行く時間でしょ~!」
お母さんの声が聞こえた。
「うん。今行くよ」
私はアルバムを閉じて、カバンを持つ。
そして、部屋を出た。
平成21年12月。
ここから物語が始まる―――