32話 Escape to the dark | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

学校では一切、西山君と話さなかった。


みんなに当然心配された。


あんなに仲が良かったのに、って。


こっちだって、望んでこうなったわけじゃないんだ。


お互いに、好きだけどこうなってしまったんだ。


私のせいで。


5月。


もうすぐ夏に差し掛かり、徐々に温度が上がっていく。


この1ヶ月はたくさんのことがあった。


西山君と出会って、仲良くなって。


信頼できる人だった。


そんなある日、俊哉が死んで。


そして、俊哉の家で西山君に会って。


すべてが崩れていって・・・。


たった1ヶ月で私の周りで目まぐるしい変化が起きたんだ。


とても濃い1ヶ月。


崩れたいった人生に、虚しさを感じる。


と同時に、焦りを感じる。


裸一貫みたいな状態になった私に対して。


この先の未来になにがあるのか。


なんて考えてみる。


けど、何も思い浮かばない。


この先に新しい出会いがある?


・・・いや、ないかな。


俊哉を超えられる人なんかいない。


西山君ですら超えられなかったんだから。


本当は超えられると思ってたんだ。


西山君なら。


でも無理だった。


その理由は今なら分かる。


今の私の頭の中の俊哉は幻。


彼のいいところだけを写して、美化している。


だから、現実に存在する男の子じゃ絶対に勝てない。


俊哉の欠点はないんだから。


あっても、それすら好きな部分に変わっていく。


俊哉は完璧な人。


きっと、彼が隣にいたらそれはあり得ない。


絶対に欠点がある。


私にとって嬉しくない部分が。


それが人だから。


けど、欠点は月日が経つにつれてどんどん私の記憶からは削除されていく。


人の脳はすごく都合がいいように作られているんだ。


印象に残ったこと、嬉しかったこと。


そればっか残していくのだから。


だから、私は俊哉に出会ってすごく嬉しかった記憶しかない。


もし、喧嘩したとか、少し嫌なことがあったかもしれない。


けど、私はそれを覚えていない。


ゆえに俊哉は完璧。


私にとって、理想の人なんだ。


そんな存在が、2年前まですぐ側にいたんだ。


キスをしていたんだ・・・。


そんなことを考えると、悲しくなっていくのは必然。


けど、こんな憂鬱な帰り道。


考えてしまうんだ。


電車に乗って、家の最寄り駅まで向かう。


その駅が近くなるにつれて、だんだん家に帰りたくなくなってきた。


帰ったところで何もしない。


退屈に過ごすだけ。


家という名の牢獄に閉じ込められてそこからは出られない。


だったら、どうせ希望のない自分の未来。


バカみたいに、少し遊んでみようか。


『今日は友達の家に泊まる』


私は親にそうメールを打って、電源を切った。


私は危ない道を通りたくなった。


闇に触れてみたくなった。








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2話連続の会話なし。


ひたすら里奈の心情を語る感じです。


ちなみにタイトルの訳は「闇への逃避行」です。


あ、余談ですが、俊哉が幻~の後の文章は、僕の持論なんで。


僕が思っていたことですww