「ここで・・・なにやってるの・・・?」
考えより先に言葉が出ていた。
「そのセリフをそのまま返すよ・・・」
「先に答えて」
私は少し強めの口調で聞いた。
私から答えるなんて到底できなかったから。
「俺は、俊哉の幼馴染。今日は、ここで線香でもあげてこうかなって思って」
幼馴染・・・。
俊哉の幼馴染なんだ・・・。
私は、さっきも思ったことをもう一度繰り返す。
私は彼のこと何も知らない・・・。
まだ・・・何も。
そして、今知った。
彼の知人関係。
けど、これは知りたくなかったこと。
こんな偶然があるもんなのかな。
私は内心肩をすくめて苦笑した。
「幼馴染なんだ。仲良かったの?」
「比較的ね。そんなにしょっちゅう会ってたわけじゃないけど」
「そっか」
「で、平川は?」
私は言葉に詰まった。
何て言えばいいだろう?
何て言えば、私と西山君の関係は崩れないだろうか?
・・・。
こんなときでも、自分のことばかりを最優先に考えている自分に腹が立つ。
それでも、どうしても、西山君との関係を崩したくなかった。
けど、ここで崩さないための選択肢をしたなら・・・。
私は俊哉の家で最悪のことを言うしかなくなる。
ガタン。
俊哉のお父さんが立ちあがった。
「じゃあ、私はとりあえず、2人の話が終わるまで台所の方に行ってるとするよ。終わったら呼んでくれ」
そう言って、居間から出ていく。
優しい気遣いに私は感謝しながらその背中を見送った。
扉が閉まる音がして、私は西山君の方に目を向けた。
「私は・・・俊哉の彼女だよ」
私は俊哉を取った。
既に死んでいる俊哉を。
心の葛藤はあった。
西山君の方を取りたかった。
けど、ポケットの中にある物。
その、計り知れない重さ。
そして、浮かんでくる俊哉との少しだけの思い出。
すべてが私に彼の彼女であるという言葉を出す決断を与えた。
「彼女・・・なんだ」
「うん」
「それは、二年前のこと?」
「そうだね・・・そして、今もだよ」
私の言葉を聞いて彼の顔が少し歪んだように見えた。
「今も・・・・って。俊哉は死んでるんだぜ?」
「そうだね。それでも私は彼のことが好きだ。忘れられない」
「それが・・・告白の答え?」
「そう・・・受け取るのなら」
「なんで、今まで保留にしてきたの?」
「君とは友達のままでいたかったから。私の心の休める場所だったから」
「ありがと。でも、もうそれは無理かも」
「わかってる。答えを出した時、もうすでに友達ではなくなってる」
「いや・・・俺が平川を好きになった時に、もう友達としての歯車は狂ってたよ」
確かにそうかもしれない。
好きになって、そういう気持ちで意識し始めた時から、異性の友情崩れ始めて・・・。
落城するんだ。
「もう・・・戻れないよね?」
私の眼から涙がこぼれる。
最近よく泣いている気がする。
けど、もうこれはしょうがないこと。
泣かないと、自分の気持ちが崩壊してしまいそうになるんだ。
「戻れないよ・・・。絶対」
彼の悲しそうな顔。
その顔が徐々に、涙でぼやけて見えなくなっていった。
私はこの日、もう一つ大切なものを失った。
大切で大切で、必要不可欠になりかけていたものを。
けど、それは、自分の意志によるもの。
自分が決めたこと。
だから・・・後悔は・・・。
いや、後悔している。
したところで、何も変わらないのだけれど・・・。
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押してくれるとやる気が出ます♪
30話です!!
意外に続くもんですね。この話。
序盤で、俊哉ほとんどでなくなったのにwww
頑張って50くらいまで続けばなと思っています!!