120話 終わりを告げる鐘 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

指定した公園のベンチに夏帆は座っていた。


どこか遠くを見つめるように。


そんな夏帆が、とても綺麗に見えた。


僕は彼女に声をかける。


「久しぶり」


「うん。そうだね。君が私にあの事を問い詰めて以来だね」


そう。夏帆のもとに行く前日。


夏帆と蓮とのやり取りを聞いてしまった。


そして、夏帆に問い詰めて僕は由美のもとに向かったんだ。


「夏帆の考えが分からない」


「だろうね・・・」


夏帆は髪を耳にかけてくすりと意味ありげに笑った。


その表情が妖艶で魅力的だったなんて口が裂けても言えない。


ここで、また夏帆を好きになったら元通りになってしまうんだから。


「なんで蓮と付き合わせた?」


「ああ・・・由美と蓮のこと?」


「そうだ」


「・・・分からないんだ?」


少し寂しそうな目で夏帆は僕を見る。


「分からないから・・・聞いてるんだよ」


「決まってるじゃん。由美から君を離すためだよ・・・」


「・・・」


「君が大好きだから・・・」


「それでも・・・やり方がいいとは言えないだろ」


「そう・・・だね」


夏帆は俯く。


「しかも、結果は失敗。裕樹君は由美のもとに帰る。ハッピーエンドだね」


「皮肉?」


「そう。皮肉だよ」


「・・・夏帆は・・・この後どうするんだ?」


「この後って?」


「蓮と付き合うのか、隼人とよりを戻すのか・・・違う道を行くのか」


「もう関係のない君に干渉される筋合いはないよ」


夏帆はスカートに付いた砂を払って立ち上がった。


「だな・・・」


「最後に・・・キスして?」


夏帆が上目遣いで僕を見る。


僕はこの姿に当たり前のようにドキッとする。


僕は夏帆の肩に手を置く。


夏帆はそれに応じて目を閉じた。


そして、僕が唇を近づけた時・・・楓の忠告を思い出した。


『気をつけてね・・・』


もしかしたら、これのことかもしれない。


もし、僕がキスをしたらどうなるだろう?


『最後』じゃなくなるかもしれない。


また、僕の気持ちは揺らぐかもしれない。


蓮を使って僕と由美を離そうとした夏帆を好きになる?


否定はできない。


だから・・・


僕は夏帆の肩に置いていた手を離した。


夏帆はゆっくり目を開ける。


「やっぱ・・・だめ?」


夏帆の目から涙がこぼれ落ちる。


「僕の大切な人は・・・由美なんだ・・・」


「そっか・・・」


キーンコーンカーンコーン・・・。


どこからか学校のチャイムが鳴った。


その音は僕らの別れを告げる最後の鐘となった。


「ばいばい」


2人同時にその言葉を言って、背を向けた。


その後、お互いに一度も振り向くことはなかった。