119話 あと一つだけ | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

そして・・・今日は12月23日。


明日はクリスマスイブだ。


この日僕はもう一度東京に戻ることに決めていた。


あの両親も渋々了承してくれた。


そりゃ、あの頑固な母親も了承する。


なんたって彼女が自殺未遂までしていたのだから。


行く準備は整った。


けど、家を出るのは夜中。


あの人の最後の嫌がらせだ。


僕はチケットを見る。


『夜行バス1231 12時20分発』


今の時刻は昼間の12時。


あと半日もある。


でも用事があったからいいんだけど。


この新潟であと一つやることがあるんだ。


僕は手ぶらで家を出る。


そこには楓がいた。


「今日?いなくなるの」


「うん。今までありがとう」


「いいよ。それより・・・行くんでしょ?」


「え・・・?」


「夏帆のところに・・・」


相変わらず思うことがある。


楓は超能力者なんじゃないかって。


前に一度聞いたことがあった。


その時は軽く流された記憶がある。


多分触れてほしくないことなのだろう。


「うん・・・。まだ終わってないことがあるから・・・」


「そっか。でも・・・気をつけてね」


「何を・・・?」


「なんでもない。バイバイ」


楓は僕に背を向けて歩いていく。


その背中はなぜか寂しそうに見えた。


けど、僕はそれをただ何も言わずに見送る。


そして楓が見えなくなったところで僕は彼女とは逆の方へ歩き出す。


前には楽しそうに会話をしながらこっちに向かって歩いているカップルが視界に入る。


なんか・・・羨ましい。


何の苦労もせずに付き合ってるカップルが・・・。


いや・・・きっと何かしらの苦労はしてる。


けど・・・。


僕はポケットから携帯を取り出して電話をかけた。


相手は・・・昔好きだった・・・夏帆。