ここはどこだろうか?
真っ暗で何も見えない。
「裕樹君!!」
私は大切な人の名前を呼ぶ。
けど、その声は反響するだけ。
周り一面が闇に包まれている。
ここが死後の世界なのだろうか?
やっぱ、天国も地獄もないのかな。
私は、止まっているのも嫌だったので少し歩く。
けど、景色は変わらず闇のまま。
「・・・み・・・」
その時誰かの声がかすかに聞こえた。
どこからかは分からない。
けど、確かに聞こえたんだ。
私は闇雲に走り回る。
けど、その声の正体は分からない。
「どこ!?だれ!?」
私は叫ぶ。
「ゆ・・・み・・・」
今度はさっきよりはっきりと聞こえた。
私を呼ぶ声が。
そして声の主が。
優しく温かい声。
「裕樹君!!どこにいるの!?」
「由美!!」
どこからか、聞こえるがその場所が分からない。
もう一度私は走る。
すると、前方に光が見えた。
淡い光が。
私はそっちに向かって走る。
次第にその光が大きくなっていき・・・。
ついには、その目の前にまで来た。
「由美!!由美!!」
その声はこの光から聞こえているようだった。
「裕樹君・・・だよね?」
私はその光に向かって話しかける。
「うん・・・。由美・・・一つ聞いてもいい?」
「何・・・?」
「由美は生きたい?死にたい?」
彼が聞いてくる。
私はなんて返事をすればいいのか迷う。
裕樹君といたい。
けど、私は自分の罪を償わなければならない。
大切な人を裏切った罪を・・・。
「そんなのお互い様だよ・・・」
裕樹君が言う。
「この手に掴まって・・・」
光から一本の腕が伸びてきた。
「え・・・?」
「この手を掴んだら、僕はもう絶対離さない。由美とずっと一緒にいる」
「・・・」
私に・・・この手を掴む資格がある?
「もう・・・由美は負い目を感じる必要もないし、もう蓮と夏帆のことも忘れればいい。僕だけを見ててくれれば・・・」
「信じていい?」
「うん。僕だけがずっと由美のそばにいるよ・・・」
彼のその言葉で涙が出る。
「裕樹君・・・ありがとう」
私は彼の手を掴んだ・・・・。
目を覚ますと、そこは病室のようだった。
私は生きてるらしい。
良かったのか・・・悪かったのか・・・。
答えは分からない。
右手に何か温かいものを感じて機微を傾けて見る。
そこには、眠りながら私の手を握る君がいた・・・。