~side裕樹~
「由美!!」
僕は目を覚ました由美に声をかけた。
「裕樹・・・君」
「よかった・・・」
由美の声を聞いて全身の力が一気に抜けた。
と同時に僕の手も真美から自然に離れた。
「・・・うそつき」
由美は頬を膨らませてそう言った。
「え?なにが?」
いきなり由美に言われて何のことか考える。
けど、何も浮かばない。
すると由美は
「なんでもないよ」
僕から顔を背けた。
「なんだよ・・・」
「手・・・離さないでよ・・・」
由美は顔を赤らめる。
彼女がそう言って僕は力強く手を握った。
「これで・・・いい?」
「うん・・・」
彼女が僕をもう一度見る。
2人の目が合う。
・・・。
そして、自然に僕達の唇は重なった。
「ずいぶん・・・熱いですね~」
僕らはその声を聞いたと同時に瞬時に唇と手を離した。
「梨香さん。入る時はノックしましょうよ」
「裕樹君。君こそ目を覚ましたばっかの病人相手になにキスしてるんですか」
「いや・・・つい嬉しくて・・・」
「理由になってませんよ?」
「う・・・」
やっぱ、この人には勝てない。
「由美お嬢様。生きてて良かった・・・」
梨香さんは由美の頬にそっと手を添えた。
「ごめんね・・・梨香さん」
「いいのよ・・・。裕樹君に事情は聞いたから・・・」
「事情・・・?」
由美は僕の方を見る。
僕は梨香さんの死角で口に指を立てて由美に見せる。
すると由美は僕に向けて小さく頷く。
意味を察してくれたらしい。
梨香さんには本当のことを言ってないってこと。
「あ・・・」
その時梨香さんが何かを思い出したかのように呟いた。
「どうしたんですか?」
僕は聞く。
「担当医さん呼ばないと・・・」
「あ・・・」
確かに。完全に忘れていた。
「じゃあ、呼んできますね」
そう言って梨香さんが病室から駆け足で出ていく。
「ねぇ・・・今は何月何日の何時?」
由美が唐突に聞いてくる。
「今は12月の15日だよ」
「けっこう寝てたんだね・・・」
由美が複雑そうな顔をする。
「そうだね・・・。でも、生きてて良かった・・・」
「ごめん。心配かけて・・・」
「いいよ・・・」
僕は由美にキスをする。
優しく・・・一瞬だけ・・・。
「由美・・・君のことが大好きだ」
「ありがとう。ずっと・・・一緒にいようね」
「もちろん」
僕は頷いてもう一度、手を握った。
この時僕らは誓いあったんだ。
これからずっと一緒にいることを。
君の手の温もりを感じながら・・・。