114話 思い出の場所 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

私はカッターを手で弄んだあと、刃を出した。


チキッ。


少し高い音がして、銀色の刃が姿を現す。


私はその刃を自分の左手首に当てた。


これで力を加えば、動脈まで刃が届き、血が大量に流れ出す。


簡単に自分の命が終わるんだ。


人の命は重い。


けど、簡単に失くすことができる。


私は少しだけ力を入れる。


「っ・・・」


少し痛い。


これで、動脈を切ったらどれほど痛いのだろうか?


かなりの激痛だろう。


けど、別に私に躊躇する気持ちにはならなかった。


もう何かを考えるのが嫌なんだ。


裕樹君のことも蓮君のことも夏帆のことも・・・。


手首から血が出る。


その血が流れ落ちてカーペットに斑点模様としてペイントされた。


・・・ここで大量の血を流すのはやめといた方がいいかもしれない。


それに、途中で発見されたら生き延びてしまう可能性もあるし・・・。


こんなことを考えられる私はどれだけ冷静なんだろうか。


思わず苦笑してしまう。


私は、制服のブレザーのポケットにカッターをしまって家を出た。


外に出ると、冷たい何かが私の頭に当たる。


雨・・・かな?


私は空を見上げる。


雨ではなかった。


冬にしか降らない「雪月花」のひとつの雪だった。


雪と光は幻想的な空間を生み出すことができる。


最期にそんな景色を見るのもいいかもしれない。


だから、蛍光灯が光を灯す夜まで・・・。


でも、家に戻るのもどうかと思う。


私は制服のまま外をうろつくことにした。


昼間の平日の時間。


外にいるのは主婦ばっかだ。


制服でこの時間帯にいるのは私だけ。


歩いていると、あの交差点に着いた。


蓮君が私を助けてくれたあの交差点。


今までいい思い出。


けど、今は・・・。


「はぁ・・・」


私はため息をつきながらその交差点を渡った。


このため息は蓮君への当てつけ。


もう、会いたくない蓮君への・・・。


色々なところを回っているうちに日が沈んだ。


雪はまだやまない。


少しづつではあるが、積ってきた。


まあ、もうすぐこの世からいなくなる私には関係のないことだけど。


蛍光灯が雪を照らして、すごく綺麗に見える。


もし、クリスマスのイルミネーションの中で雪が降ったら綺麗だろうな・・・。


私はそんなことを考えながら思い出の場所に向かった。


そこで死ぬことを決めていたんだ。