「勉強全然ついていけないなぁ・・・」
私は蓮君にそう呟いて肩を落とした。
前までは普通についていけたのだが、
色んな事を考えるようになって少し勉強をおろそかにしていた。
その結果がこれだ。
「こんど勉強教えようか?」
彼が少し偉そうに言う。
「ありがと」
私はそう言って彼の腕に抱きついた。
この腕をつかんだ時、私に少しの不安が募った。
何でかは分からない。
ただの直感。
「どうした?」
私の曇った表情を見て、彼は心配そうに声をかけた。
「なんでもないよ」
私はそう言う。
そして、私の家の前まで来る。
「ばいばい」
私は彼に手を振る。
「うん。また明日ね」
彼もそれにこたえて手を振ってくれた。
いつもと同じような別れのあいさつ。
いつもなら、これが少し名残惜しさを感じさせるのに、なんだろう・・・。
この変な感じは。
すごい違和感がする。
何も変わらない。
・・・よね?
彼が、笑顔で私の視界から消える。
私の足が動いた。
なんのために?
彼の後ろをつけるために・・・。
私は門を開けて外に出る。
そして、彼が行った方を見るがもうそこには彼はいなかった。
多分もうどこかの曲がり道を行ったのだろう。
・・・だからここで諦めればよかった。
そうすれば何も知らずに彼と居られたのに・・・。
けど、私は・・・自分の違和感を拭うために彼を探す。
一つ目の曲がり角の先で蓮君の声が聞こえた気がして私は立ち止まった。
そして、その角から私は顔だけを出して蓮君なのかを確認する。
・・・ビンゴだった。
君は壁に寄りかかって誰かと電話をしていた。
私は声だけ聞ければいいと思ったので顔を引っ込めた。
「ホントに・・・これで君は満足するのか?」
いつもの声のトーンじゃない。
私と居る時は絶対にない。
「なら・・・いいけど。君に後悔はない?」
相手は・・・どう考えても女。
・・・浮気ってこと?
そして・・・次の時、私にとって最悪の二つの単語が蓮君の口から出た。
「このまま・・・由美と付き合ってるままでいいんだな?夏帆・・・」
エ・・・?カレハ・・・イマナンテ・・・?
私の瞳から涙がこぼれる。
「じゃあ・・・夏帆、またね」
その後彼の足音が聞こえる。
遠のく足音が・・・。
私はその足跡が聞こえなくなった後、立つ気力もなくして
壁に寄りかかって声を上げずに泣いた・・・。