109話 一緒の登校 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

君と別れた3ヶ月後・・・。


そう。誰よりも悲しい修学旅行を送った後だ。


今はもう秋が終わり冬となっていた。


12月5日。


冬の初めで長袖に変えたばっかの服装が


いきなり厚着に変わるこの季節。


肌寒い朝を迎えて私は毛布にくるまりながら、


恨めしそうに窓から太陽を見た。


太陽は夏ほどの力はもうないものの、


燦々と地面を照りつけていた。


「早く起きてください」


梨香さんの声が聞こえて私は


「は~い・・・」


やる気なさ気な声で返事を返した。


これで、いつもリビングに降りてこない私を見かねて


梨香さんが私の部屋に乗り込んできて


毛布を取り上げるのがいつものパターンだった。


けど、今日は違った。


いつもはこの時間には絶対にならないインターホンが家中に鳴り響いた。


「なんだろう・・・?」


寝起きの全く働かない脳みそを使って、誰が来たかを予想する。


何かの配達・・・回覧板・・・新聞の勧誘・・・。


どれもこんな早くに来るだろうか?


まだ時間は・・・


私は時間を見るために携帯を開く。


「・・・ん?」


一通のメールが来ていた。


私は内容を確認する。


相手は蓮君からだった。


『今日、家に迎えに行くから!!朝7時30分に!!』


7時半かぁ・・・。


・・・。


私は時間を確認した。


7時30分・・・。


てことは、下にいるのは・・・蓮君か!!


その事実を知った途端私の目が一気に覚めた。


私はベッドから飛び降りて今までではありえないくらいの速さで制服を着た。


例えるなら光の速さくらい。


・・・それは言いすぎか。


私は階段を降りながら蓮君に電話をした。


『もしもし。蓮君?』


『うん。そうだけど・・・』


『ちょっと待ってて!!すぐ行くから!!』


私は相手の返事を待たずに電話を切る。


リビングに行くと、梨香さんが


「立石君が来てますよ?」


「わかってるよ!!」


私はリビングを素通りして洗面所に向かった。


「早くした方がいいですよ」


からかうように梨香さんは言う。


・・・私の髪を見ながら・・・。


「今、髪直すよ!!」


私は、水やらドライヤーやら色んなものと格闘し、


何とか髪を整えて


「行ってきます」


小走りで家を出る。


門の前には壁に寄りかかりながら携帯をいじっている蓮君がいた。


「遅くなってごめん」


「大丈夫。行こう」


彼は一歩前を歩く。


少し大きな背中。


相変わらずカッコいい。


性格は少し可愛い一面があるし。


このギャップがすごい。


それが・・・前の彼にはないもの。


でも、前の彼には・・・蓮君じゃ到底及ばない優しさがあった・・・。


「何してるの?」


後ろを歩く私に蓮君は声をかける。


「ううん。何でもない」


そう言って私は彼の隣に並んだ。


彼は無言で私の手を握る。


初めての一緒の登校。


これに私は幸せを感じた。


この時の私には、もう胸の中にある「裕樹君」がほとんど消えかかっていた。