~side由美~
君と夏帆のキスを見て・・・どんだけ苦しんだか・・・
君にはわかるかな?
いや・・・分かるよね?
私が苦しんで、蓮君のもとに完全に心が動いた時のキスを君は見たんだから。
お互いに苦しんでるんだ。
こんな苦しみ・・・辛いだけ。
だから・・・。
「君のことは好き。けど・・・」
別れよう。その言葉が出ない。
言えないよ・・・。
涙があふれ出す。
裕樹君を見る。
すべてを察したようだった。
「終わりにしようってこと・・・?」
裕樹君から言ってくれた。
「うん」
「由美と蓮が幸せになることを祈っておくよ」
彼が寂しそうな笑顔で行った。
ありがとう。そう言おうとした時、何か違和感を感じる。
今・・・裕樹君は「蓮」と言った?
「蓮君のこと知ってるの・・・?」
「うん。だって蓮は・・・」
そこで、裕樹君は言うのを止める。
「蓮は・・・何?」
私は裕樹君に先を諭すように聞く。
「いや・・・なんでもない」
裕樹君は顔を背ける。
その時、一瞬見えた表情。
嫌悪感に似た表情だった。
2人はどういう関係なんだろう・・・?
「それより・・・由美」
「何・・・?」
「携帯出して」
裕樹君は自分の手に携帯を持っていた。
「うん・・・」
私も携帯を出した。
「言いたいこと分かるよね・・・?」
裕樹君が私に聞く。
「うん。分かるよ」
私はアドレス帳を開いて、『杉原裕樹』の欄のところで枠を止めた。
「お互いにアドレスを消そう・・・」
その言葉は二人にとってとても非情な言葉。
遠距離の二人だから、連絡先を消したら間違いなく会うことはない。
こんな、偶然がない限り・・・。
でも、私は裕樹君のその言葉を否定せず、了承したんだ。
なんで?
そんなの簡単だ。
2人の人を好きになってたら辛いだけ・・・。
分かってるんだ。
お互いに、裕樹、由美はもう必要ないってことを・・・。
「じゃあ・・・消すね?」
「うん・・・」
そして、私たちはお互いのアドレス、電話番号を消した・・・。