宗谷岬の地の牌は夏帆が言っていた通り綺麗にライトアップされていた。
点在している光の中で中心にある大きな光。
そんな神々しい場所で僕らはどんな話をするのだろうか?
少なくとも穏やかな話じゃないことは確かだが。
僕が着くと、そこにはもう由美が座って待っていた。
「久しぶりだね・・・」
僕がそう言うと、由美は
「まあ、半日ぶりだね」
僕の目を見ず、皮肉を言った。
「そうだね・・・」
「ねぇ、拓也君ならわかるよね?わざわざこんなとこまで呼び出した理由・・・」
「なんとなく・・・ね」
「ここで・・・」
由美は立ち上がり、光っている地の牌に触れた。
「君と夏帆がキスをしているのを見た」
僕の方を見る。
「うん・・・」
僕は頷いた。
「私は蓮君・・・いや男の子とキスをした。あの灯台の下で」
由美は大きな灯台を指差す。
「知ってる。見たから・・・」
僕はそう言って苦笑する。
「そうなんだ。じゃあ、質問。裕樹君は夏帆のことが好きなんですか?」
「うん」
由美が少し寂しそうな表情になる。
「じゃあ、私のことは?」
「好きだよ・・・」
僕のこの気持ちは本心だった。
「私も・・・」
由美は下を向いた。
「私も、蓮君と裕樹君。両方好きなんだ・・・」
「・・・」
「蓮君は君にないものを持ってる。やっぱさ・・・遠距離って辛いよね・・・」
「由美・・・」
由美の瞳には涙が溜まっていた。その涙は今にも溢れ出しそうで・・・。
「裕樹君・・・。君のことは大好きだよ。けど・・・」
僕は辛そうに続きを言おうとしている由美を見て自分で続きを言う。
「もう・・・終わりにしよう・・・ってこと?」
「うん・・・」
由美の涙があふれ出した。
けど・・・この涙を止めるべき相手は僕じゃなくて・・・蓮。
そう思うと、何もできない自分が腹立たしくなるんだ。
「分かった。じゃあ、別れよう。由美が蓮と幸せになれるように祈っとくよ」
「え・・・?」
由美が不思議そうな顔で僕を見る。
「何?」
「蓮君のこと知ってるの・・・?」
「うん。知ってる。だって蓮は・・・」