あんなのを見て・・・僕はどうすればいいんだろう?
ホテルのベッドで僕は考え込む。
あの後、僕は由美たちに話しかけずに帰った。
夏帆にも由美たちを見たことは言わなかった。
というか、言えるはずないのだが。
夢が現実になったんだ・・・。
蓮と由美がキスをする。
まだ、目を閉じればすぐに脳裏に浮かぶ。
あのキスシーン。
・・・。
時計の針が動く音だけが聞こえる。
今日は一人部屋だから、他に誰もいない。
隣からも声が聞こえない。
ほとんど無音だ。
この無音が僕に考える心のゆとりを与える。
そして、考えれば考えるほど・・・
思えば思うほど・・・辛くなる。
その時、携帯のバイブ音が鳴った。
・・・誰だよ。
僕は舌打ちをして、携帯を開いた。
宛名は由美からだった。
『久しぶり。今、稚内にいるんだよね?直接話したいから、昼間いた場所に来てくれない?宗谷岬に』
時計を見る。
時刻は21時50分を回っていた。
22時になれば点呼に先生が来る。
それが終われば抜け出せる。
『わかった。23時に行く』
僕はそう返信を返した。
君と会うのは何カ月ぶりだろうか?
あの時、心は一つだと誓いあったあの日以来だ。
今は・・・2人の気持ちにどれだけ変化が生じただろうか?
一つ言えることは、間違いなくあの時とは違う。
もう、単純に二人が愛し合ってるってことはない。
君の心はどれだけ蓮に動いている?
もう、僕より蓮の方が上回っているのだろうか?
そうじゃないと信じるのは自分勝手だろうか。
でも、信じたいんだ。
君の気持ちがまだ僕の方に向いていることを。
夏帆とキスをしといて・・・僕が言えるセリフじゃないことぐらい分かってる。
けど・・・。
その時、点呼の先生が来た。
そして、数秒の業務連絡を終えて先生がいなくなる。
・・・行くか。
僕は制服に着替えて、上からパーカーを羽織った。
これから、一時間後。
僕らは久しぶりの再会を果たすんだ。
二人きりで・・・。