倉庫の目の前まで来る。
古びた倉庫。
もう夜ということだけあって余計に君が悪い。
僕は意を決して大きな扉を開けた。
嫌に大きい音が響く。
倉庫の中は明るい。
蛍光灯の電気がすべて点いていて、眩しいくらいだった。
そして、その中心あたりに2人の姿が映った。
隼人と夏帆だ。
夏帆は椅子に座らされていて、ガムテープで固定されていた。
「裕樹~。来るの遅いなぁ。待ちくたびれたんだけど」
隼人の声が倉庫中に響く渡る。
「遅くてごめんな。少し道に迷ってさ」
僕は隼人の方に近づく。
そして、二人の距離は5m弱にまで縮まった。
「隼人・・・。彼女に何してんだよ?」
少し怒りのこもった声で僕は言った。
「彼女・・・ねぇ」
隼人は苦笑した。
「なんだよ?」
「こいつはもう俺の彼女じゃない!!」
そういって、隼人は夏帆が座っている椅子を蹴った。
「きゃあ!!」
夏帆は身動きが取れないまま椅子とともに転がる。
「隼人!!」
僕は、無意識のうちにこぶしを握り締め隼人の顔面めがけて放つ。
しかし、隼人はそれを難なく右の掌で受け止めた。
そして、もう片方の手が僕のわき腹に入った。
「う・・・」
僕は声にならない悲鳴を上げて、倒れ込む。
「なあ、裕樹。俺がなんでこんなことをしてるかわかるか?」
僕を見降ろしながら、隼人は言った。
「わかんねぇよ・・・」
僕はわき腹を抑えながら立ち上がった。
「見たんだよ。お前と夏帆がキスしてんのを」
「・・・っ」
やっぱりそれか。
なんとなく想像はついたけど・・・。
「で?こんなことして何になるんだ?」
僕は強気にいった。
「ただの俺の憂さ晴らしだよ」
その途端に隼人の強烈なパンチが僕の頬にあたった。
速すぎてガードができない。
素人のできる芸当じゃなかった。
その時、前に楓が言ってた言葉を思い出す。
『隼人には暴力団との関係があるんだって』
・・・。
なんか嫌な予感がする。
銃でも出てくるんじゃないか。
そんな気がしてさえする。
この時、僕には隼人がすごく大きく見えた。