96話 大切な人・・・。 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

僕は夏帆に電話をかける。


なかなか繋がらない。


夏帆に何があったのだろうか?


楓が言っていた「嫌な予感」という言葉がよみがえる。


何が起きた・・・?


早く繋がってくれ!!


僕がそう願っていると電話が繋がった。


『もしもし・・・』


夏帆の声が聞こえる。すごく小さな声だった。


けど、反響して少し大きく聞こえる。


・・・反響?なんで・・・?


『夏帆。どうした?なんかあったのか?』


『今から、ホテルの外・・・。近くにある倉庫の来てほしい』


倉庫・・・。


ああ、あれか。


バスで通る時に見かけたあれだ。


麻薬密売でも行われてそうな古びた大きい倉庫。


主人公が悪に向かっていくときのドラマとかにも使われてそうな感じの倉庫だ。


けど、なんで夏帆がそこにいる?


繋がりが全く分からない。


『わかった。すぐに行く』


『ありがとう・・・』


少しほっとしたような夏帆の声。


『なあ、夏帆。何があったんだ?』


『来たら分かる。・・・・・」


その後、何か呟いたようだが、僕には聞こえなかった。


『え・・・?何?』


『裕樹君・・・。君は私のことどう思っていますか?』


ふいに夏帆が聞いてくる。


は・・・?


僕は困惑する。


けど・・・ここで素直な気持ちを言う。


『僕にとって・・・夏帆は大切な人だ』


僕がそう言ったと同時にグスン。と電話越しに聞こえた。


夏帆・・・泣いてる・・・?


『ありがとう。裕樹君。こっちに来るの怖くない?』


何を・・・さっきから言ってるんだ・・・?


『何が起きてるか分かんないから何とも言えないな・・・』


『そっか。私は裕樹君が大切な人だから、勇気を出して言うね・・・。裕樹君・・・こっちに来ないで!!!』


夏帆の大声が倉庫中に響き渡ったのか、かなり大きく反響した。


途端に男の声が聞こえた。


『夏帆~!!ふざけるな!!』


『きゃあ!!』


夏帆の悲鳴。


と同時に携帯が落ちたのか耳元でカランカランと聞こえて、耳が痛くなる。


そして・・・。


ツーツーツー。


電話が切れる音。


何が起きてる!?


少なくとも、いいことが起きていないことは確かだ。


僕は全速力で走り、ホテルから出る。


それに・・・あの男の声・・・。


聞き覚えがある。


というか、間違いなく隼人の声だ・・・。