過密スケジュールが終わった。
嫌な予感はなにも的中することもなく。
夕食を食べ終わって僕はホテルの自室に戻り
椅子に腰かけた。
相部屋の隼人は戻ってこない。
夕食を食べ終わったら部屋に戻るきまりなのに・・・。
まあ、隼人の性格からして先生の指示に従わないのは分かるけど。
風呂にでも行ったのかもしれない。
点呼までには戻ってきてほしいな・・・さすがに。
あんまり怒られたくないし。
明日からは違う人と相部屋だから今日一日の辛抱・・・か。
僕は立てかけてあった時計を見る。
7時30分。
当たり前だけど午後の・・・だ。
頼むから、10時までには帰ってこいよな~。
僕はそんなことを考えながらベッドに寝っ転がって目を閉じる。
みんなはきっと、男女混合でどこかの部屋で遊んでいるのだろう。
現に隣の部屋から、聞こえるはずのない女子の声が聞こえるし・・・。
声の数からして・・・2対2ってところか。
・・・俺にとってはどうでもいいことだけど。
変な声さえ聞こえてこなければ。
聞こえてきたら寝れなくなるし・・・。
『直樹君の負け~』
『直樹君、私とキスだよ』
『良かったじゃん。直樹、佳奈』
『良かった・・・のか?』
4人の楽しそうな声が聞こえる。
って・・・キスかよ。
ずいぶん軽いキスだな。
直樹も佳奈も・・・いつも大人しそうな人なのに・・・。
やっぱりこういう場所だと人は大胆になるのかもしれない。
壁が薄いのか、それとも異様に僕の耳がいいのか・・・それとも
先入観による擬音なのか二人の唇のかなさる音が聞こえた。
僕は自分の唇を触る。
キスは遊びでやるものじゃない。
例え好きな人であっても。
気持ちを伝えるのを照れ隠しするためのものじゃない。
お互いの愛を確かめるものだ。
けど・・・。
由美と・・・夏帆とキスをして・・・。
僕も人のこと言えない・・・か。
その時、ポケットの携帯が振動する。
僕は携帯を開いた。
「・・・!!」
夏帆からのメール。
そこには、ただ一言。
『助けて!!』
そう書いてあった・・・。