雑学日記 その498(素朴な疑問編23)
みなさま、お疲れ様です。
4月も終わりの時期となり、早いもので、もう5月となろうとしている今日このごろですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今日も続編と参ります。
『なぜ、くもらない鏡はくもらないのか?』
銭湯や温泉旅館の大浴場には、“くもらない鏡”が設置されていることが多いです。一般家庭の風呂場にある鏡はすぐにくもるのに、どうしてくもらないのか、と不思議に思ったこともある人も多いとは思いますが、まずは「くもる」とはどういうことなのか、を説明したいと思います。
風呂場ではお湯から水蒸気が発生します。その水蒸気が細かい水滴となって鏡の表面に付着した状態が「くもる」という現象です。
「くもる」となぜ鏡が見にくくなるかといえば、細かな水滴が差し込んできた光を乱反射するからです。つまり、水滴一粒一粒が、不規則なプリズムのような働きをして、くもった鏡が見にくくなるのです。
では、そもそも、なぜ鏡(ガラス)に水滴が付着するのかといえば、ガラスには水をはじく性質があるからです。逆にいえば、水をはじかないようにすれば、ガラスには水滴が付着しない、つまりは「くもらない」のです。
そこで思い出してほしいのが、「鏡に石鹸水(せっけんすい)を塗るとくもりにくい」という生活の知恵です。これは、石鹸が界面活性剤という、水と結合しやすい部分(親水性のある部分)と水と結合しにくい部分(疎水性のある部分)をもった物質であることを利用しています。
石鹸水を鏡に塗ると、疎水性のある部分が鏡と結びつき、親水性のある部分は外側になります。そうすると、鏡の表面は親水性になり、濡れやすくなります。そのため、水をはじかず(水滴がつかず)、鏡はくもらなくなります。
なので、“くもらない鏡”のカラクリも、石鹸水の性質を利用しています。ただ、石鹸水は一時しのぎにしかならないので、代わりに界面活性剤を表面にコーティングした特殊なフィルムがくもらない鏡には貼られています。
一般家庭でも“くもらないフィルム”を利用できますが、やはり、数年たつと、コーティングしてあった界面活性剤は、はげ落ちてくるので、鏡はくもりだします。
もし鏡のくもりが気になる方は、くもらないフィルムを利用してみてはいかがでしょうか。
さて、いかがでしたでしょうか。
それでは、次回までごきげんよ~!