先日のブログ で、“ウーバ―”という「配車アプリ」をご紹介したが(ウーパルーパではありません)、「GPSと新アプリ」繋がりのテーマで、もう一つ別のトピックをご紹介します。
それは知る人ぞ知る、日本語にするならその名も“GPSシューズ”。
中国では一定の市場を持っていて、小学校低学年の児童とその親(家族)をユーザーとする、GPSを利用したITサービスである。
福建省の取引先がスマホ向けゲームなども開発するほか、何年も前にこのソフトを開発、靴まで商品化し、シューズも自社で販売していた(現在、靴の販売は他社に委託)。
サービスの仕組みを簡単に申し上げるならば、靴底に仕込まれた信号発信機(モジュール)、通信会社のサーバー、親のスマホのアプリ、GPSシステムの4つが連携して、アプリの地図上で我が子がいまどこに居るか、を知らせてくれるというモノ。
中国ではそこそこ売れていて、誰もが知る世界的な遊園地グループもアメリカから話を聞きに来たと言うので、それはすごいですね! と興奮した記憶がある。
児童向けGPSシューズが中国でニーズをもつのには、この国の深刻な理由がある。
中国では子供の誘拐がきわめて多く、ご存じない方には信じられない話かも知れないが、行方不明になる子供の数は毎年20万人と言われている。
一人っ子政策や福祉の問題などさらに諸々のお国の背景があるのだが、とにかく、子供を持たなかったり亡くした夫婦が将来の不安を募らせる余り、さらって来た子供でも、お金を払ってでも欲しい、となり、このニーズに対し誘拐や子供の売買をビジネスとする暗黒のシンジケートも介在するらしい。
中国人なら誰でも知っていることで、以前、NHKの番組で特集されたこともある。
たいへん恐ろしい話で、子供をさらわれたご家族は本当に気の毒な話だ。
件数が多すぎて警察も動けず、我が子を探して一年中旅を続けている親もいるという。
そんな社会問題もあって、GPSシューズを子供に履かせたい、という家族の願いがある。
*因みにこの福建省の会社が作ったプロモーションビデオがあります。
9分弱のドラマ仕立てで、全て中国語ですがストーリー自体は問題なくお分かりになると思います。お金もかけてプロの俳優も使って台湾で制作しました。
ちょっといいドラマです。
よかったら見てあげて下さい。
さてこの話しは横に置いて、
事情や背景は中国とかなり異なるが、日本でも子供における安全、安心の求めが高まり、実際、児童にまつわる残念な報道も頻繁にあり、その結果、当社も、お取引先と相談して、日本でもこのGPSシューズをやろう、やれないか? と言う話しになった。
靴の輸入やアプリは、件のIT会社の協力を得て中国から入れられるし、販売ノウハウも拝借出来る。 日本の通信キャリア会社の専門部署の方に東京から来てもらって話も聞いた。
然しながら、結論から申し上げると、いろいろ検討した結果、この案件は断念するに至った。
その理由は複数。
先ず、安全のためとは言え、ユーザー(GPGシューズを利用する人)が負担する月々のランニングコストが、試算の結果相当たかくつくことが分かったから(中国の5倍~10倍)。
次に、上記とは別の通信会社や、大手の警備会社が既にやっているランドセルに付ける装置など、既に競合的なサービスがあり、しかもコストが安いこと。
そして、モジュールをまとめて買ったり通信サービスを導入するにしてもロットが相当大きいこと、などなど。
いろいろ検討した結果、日本では子供用のシューズは成功しないだろう、しかもチャレンジするには投資額が大き過ぎる、となった。
ただ、ランドセル装着タイプもよいが、GPSシューズの良いところもある。
リアルな話しだが、カバンに付けたり携帯を持たせていても、悪い人間なら真っ先に見つけるだろうし、捨てられたらおしまい。
対して靴の場合はこのリスクは比較的少ないと思われる。
そして、これは売る方のいやらしい話だが靴の場合、子供の足の成長に伴い靴を買い替えて頂ける、とい期待もある(モジュールは再利用)。
シューズであっても、あくまでも気休めなのかも知れない。
中国の親達にとっても、安心のためのお守りに過ぎないのかも知れないが、それでも毎日、「きょうも無事、学校に着いたな」「もう家に戻ったんだな」と遠隔で知ることが出来るのは、大きなサービスの提供だと思う。
ところで、このGPSシューズが、最近、日本では、子供ではなく年齢的にぐんと上のご老人、特に徘徊の心配があるご高齢の方の居る家族、或いは施設をユーザーとして商品化されていると聞いた。 こちらもとても深刻な社会問題の一つなので、活用されれば素晴らしいと思う。ただ、徘徊までされる老人が自分の靴をちゃんと履いて外出するのかな、とも若干思わないでもないが...。
タクシー、子供、老人…。
宅配の路線便などは必要ないかも知れない。移動のルートが決まっておらず予想外の行動も取る人やモノを対象に、他に何かビジネスチャンスが残っていないだろうか?
「GPS浮気」は片方のユーザーにニーズはないし…。