「5.情報送信指令通信によって送信されている情報が、外部送信規制の適用除外となる対象情報に当たるか。」について検討する。

 

情報送信指令通信を行っていても、送信されている情報が次のいずれかである場合は外部送信規制は適用されない。

①サービス提供にあたって必要な情報

②サービス提供者が利用者に送信した識別符号

③利用者の同意を取得している情報

④一定事項を利用者の容易に知り得る状態に置いた上で、オプトアウト措置を講じていて、利用者がオプトアウト措置の適用を求めていない情報

 

 

1 サービス提供にあたって必要な情報

 

【具体例】

・OS情報、画面設定情報、言語設定情報、ブラウザ情報等、電気通信役務の提供のために真に必要な情報

・入力した情報の保持等に必要な情報(たとえば、利用者がオンラインショッピングモールにアクセスして特定の品物を買い物かごに入れた後、時間を置いて再度アクセスした際に、当該品物を買い物かごに入った状態で再表示するために必要な情報)

・ユーザー認証に必要な情報

・セキュリティ対策に必要な情報

・ネットワーク管理に必要な情報(たとえば、オンラインゲーム等、利用者が多く多数のアクセスが集中する電気通信役務を提供するときは、特定のサーバ等に過剰な負担がかかることを防ぐため、負荷分散(ロードバランシング)等の措置に必要な情報)

 

【実務】

◆電気通信役務を提供する事業者に送信される情報は、基本的には当該電気通信役務の提供に必要なものであると考えられるため、原則として「真に必要な情報」に当たると考えられる。ただし、利用者が当該電気通信役務を利用する際に必ずしも必要がなく、一般の利用者から見て送信されることが通常想定できない情報や、通常想定できない利用目的で利用される情報については、「真に必要な情報」には該当しないと考えられる。(総務省「外部送信規律に係る電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説案」2022年12月23日P15)

◆電気通信役務を提供する事業者以外に送信される情報については、必ずしも当該電気通信役務の提供のために必要とは考えられないため、原則として「真に必要な情報」には該当しないと考えられる。ただし、利用者が利用を希望している電気通信役務を提供するに当たり、送信することが必要不可欠な情報については、この限りではない。(総務省「外部送信規律に係る電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説案」2022年12月23日P15)

 

 

2 サービス提供者が利用者に送信した識別符号

 

電気通信事業者は、その利用者に対し電気通信役務を提供する際に、当該利用者を識別するために、文字列で構成された識別符号(First Party Cookie に保存されたID等)を当該利用者に送信して、これを当該利用者の電気通信設備(端末設備)に記録させることがある。

当該識別符号は当該電気通信事業者が生成するものであり、当該電気通信事業者が当該識別符号を当該利用者から当該電気通信事業者自身に送信させてこれを取得しても、当該利用者に自らが付した識別符号を回収しているに過ぎず、その使途も ID・パスワードの入力の省略等と限定的であることが想定される。

この点に鑑みると、当該識別符号の送信については、利用者の判断を経る必要性が低いため、送信される情報の内容等を当該利用者に通知等を行うことを要しないものである。

(総務省「外部送信規律に係る電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説案」2022年12月23日P16-17)

 

【具体例】

・First Party Cookieに保存されたID

 

 

3 利用者の同意を取得している情報

 

情報送信指令通信により送信することについて利用者から適切な方法で同意を取得している情報である。

 

 

4 一定事項を利用者の容易に知り得る状態に置いた上で、オプトアウト措置を講じていて、利用者がオプトアウト措置の適用を求めていない情報

 

オプトアウト措置とは、利用者に対して情報の送信または利用を停止する措置を講ずることをいう。

 

「一定事項」の内容は次のとおりである。

(1) オプトアウト措置を講じているという事実

(2) オプトアウト措置が情報の送信と利用のどちらを停止するものか

(3) オプトアウト措置の申込みを受け付ける方法

(4) オプトアウト措置を適用した場合、サービス利用が制限がされる場合は、その内容

(5) 送信されることとなる利用者に関する情報の内容

(6) (5)の情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称

(7) (5)の情報の利用目的

 

「4.サービスは外部送信規制の対象サービスに当たるか。」について検討する。

 

登録・届出を行っている電気通信事業者または第3号事業者が行う電気通信役務であっても、全ての電気通信役務が外部送信規制の対象になるわけではない。

規制対象は、利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務と言われる次の4つの電気通信役務である。

① メッセージ媒介サービス等
② SNS、動画共有サービス等
③ オンライン検索サービス
④ 各種情報のオンライン提供サービス
 

 

1 メッセージ媒介サービス等

 

メッセージ媒介サービス等は、他人の通信を媒介する電気通信役務である。

 

【具体例】

・メールサービス
・ダイレクトメッセージサービス
・参加者を限定した会議が可能なウェブ会議システム

 

【実務】

◆このサービスを単体で提供している場合だけでなく、たとえば、オンラインストレージサービスとメールサービスを含む複合的なサービスを提供している場合もメッセージ媒介サービス等に当たる。

 

 

2 SNS、動画共有サービス等

 

SNS、動画共有サービス等は、その記録媒体に情報を記録し、又はその送信装置に情報を入力する電気通信を利用者から受信し、これにより当該記録媒体に記録され、又は当該送信装置に入力された情報を不特定の利用者の求めに応じて送信する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務である。

 

【具体例】

・SNS
・電子掲示板
・動画共有サービス
・オンラインショッピングモール
・ライブストリーミングサービス
・シェアリングサービス
・マッチングサービス
・オンラインゲーム
・オンライン教育
 

 

3 オンライン検索サービス

 

オンライン検索サービスは、入力された検索情報(検索により求める情報をいう。以下この号において同じ。)に対応して、当該検索情報が記録された全てのウェブページ(通常の方法により閲覧ができるものに限る。次条第三項第一号において同じ。)のドメイン名その他の所在に関する情報を出力する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務をいう。

 

【具体例】

・GoogleやYahoo!などの検索サイト

 

 

4 各種情報のオンライン提供サービス

 

各種情報のオンライン提供サービスは、前号に掲げるもののほか、不特定の利用者の求めに応じて情報を送信する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務であって、不特定の利用者による情報の閲覧に供することを目的とするもの

 

【具体例】

・オンライン販売のウェブサイトにおけるオンライン取引等とは独立した業界に関連するニュース配信や情報提供

・ニュースや気象情報等の配信を行うウェブサイトやアプリ

・動画配信サービス

・オンライン地図サービス

・乗換案内

・就職、転職、アルバイト等の情報提供サービス

 

【実務】

◆ウェブサイトで事業者に関する情報以外の情報、たとえば、法律事務所が事例紹介や改正法の解説などを掲載している場合は、「各種情報のオンライン提供サービス」に当たると考えられる。

 

◆顧客管理アプリや勤怠管理アプリのオンラインサービス(SaaSなど)が「各種情報のオンライン提供サービス」に当たると解説するウェブページが散見されるが、天気やニュースといった各種情報を提供するウェブページと異なり、顧客管理アプリや勤怠管理アプリは、基本的には利用者が情報を入力して使用するだけであるから、事業者が当該アプリ上で情報を提供する例外的な場合でない限り「各種情報のオンライン提供サービス」には当たらないと考えられる。

 

Q1 外部送信規制はサービスの再販売業者にも適用されるか。

 

A1 外部送信規制はサービスの再販売業者にも適用され得る(総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課に確認済み)。

したがって、サービス提供元のベンダーが外貌送信規制に対応していたとしても、再販売業者もこれに対応しておくことが推奨される。

このときの通知・公表の方法としては、サービス提供元のベンダーが対応している場合は、リンクを示した上で、通知等すべき事項の概略を示すことが望ましいとされている(外部送信規律に係る電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説案について2022年12月23日事務局版)。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000853183.pdf