「3.サービスはブラウザその他のソフトウェアによって提供されるものか。」について検討する。

 

「ブラウザその他のソフトウェア」とは、利用者が使用するPC、携帯電話端末またはこれらに類する端末機器においてオペレーティングシステムを通じて実行されるものに限られる。

インストール型、サーバ設置型またはクラウド型(SaaS)のいずれであるかは問わない。

 

「2.事業者は、サービスを提供するにあたり、利用者の意思によらずに、利用者に関する情報を外部に送信(情報送信指令通信)を行っているか。」について検討する。

 

「情報送信指令通信」とは、利用者の電気通信設備(パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の端末設備)が有する情報送信機能(端末設備に記録された当該利用者に関する情報を、当該利用者以外の者の電気通信設備に送信する機能)を起動する指令となるプログラム等を送信することをいう。

ウェブサイトの場合は、HTML、CSS、JavaScript 等の言語で記述されたウェブサイトを構成するソースコードのうち上記仕組みを実現する部分(上記仕組みを実現する HTML 要素を DOM の中に生成する JavaScript コード等を含む。)などが考えられるが、これらに限らない。

アプリケーションの場合は、アプリケーションに埋め込まれている情報収集モジュール等の情報送信機能の起動の契機となるプログラム等の送信が含まれる。

 

「利用者に関する情報」とは、利用者の電気通信設備に記録されている情報である。様々な情報がこれに含まれ、以下はその一部に過ぎない。

・Cookieに保存されたIDや広告ID等の識別符号

・利用者が閲覧したウェブページのURL等の利用者の行動に関する情報

・利用者の氏名等

・利用者以外の者の連絡先情報等

各論5の適用除外となる情報であるか否かはこの段階の検討では気にしない。

 

情報送信指令通信は利用者の電気通信設備に記録されている情報を送信する指令であることから、利用者の電気通信設備にpingを打って当該設備が正常に接続されているかどうかをチェックすることは、情報送信指令通信に当たらないと考えられる。

「1.サービスは電気通信事業法上の登録・届出事業または第3号事業に当たるか」について検討する。

なお、以下は総務省の「電気通信事業参入マニュアル[追補版]令和5年1月30日改定」を参照している。

 

 

電気通信事業法(以下「法」という。)の外部送信規制が適用される事業者は、上記図の赤枠で囲まれた電気通信事業者及び第3号事業者である。

電気通信事業者または第3号事業者に当たるかは、次の手順で確認する。

なお、電気通信事業法の登録または届出を行っている事業は、以下の確認を経なくても、それだけで外部送信規制の適用対象になる可能性がある。

 

1.事業者のサービスが「電気通信役務」に当たるか。

当たる⇒2へ

当たらない⇒外部送信規制の対象外

 

電気通信役務とは、電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう(法2条3号)。

・「電気通信設備」とは、電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいい、自らが所有するものでなくても、利用する(又は利用させる)権限を有するものも含む。 

・「他人」とは、自己以外の社会通念上独立の人格を有すると考えられる者をいう。例えば、法人Aが法人Bの子会社という関係にある場合でも、別法人であれば、法人Aと法人Bは「他人」と判断される。

・「他人の通信」とは、自己の通信以外の通信であり、自己と他人との間の通信も含まれる。例えば、Aが設置する電気通信設備を用いてAとBとの間で通信を行う場合は、Aはその設備を他人であるBの通信の用に供していると判断される。 
・「電気通信設備を他人の通信の用に供する」とは、広く電気通信設備を他人の通信のために運用することをいい、「他人の通信を媒介」することも含む。 

 

【具体例】企業内における内線電話やLANは、「自己の」通信であり、「他人の」通信ではないから、「電気通信役務」に当たらない。

 

【具体例】利用者に対する通信機器の貸与のみを行い、利用者が他の事業者から電気通信役務を調達する場合は、「電気通信役務」に当たらない。

 

【具体例】不動産会社等が、電源設備や耐震設備等を備えた建物を設置し、電気通信事業者等にサーバ等の設置場所を貸し出すことは、不動産業としてスペース・空間を貸し出しているにすぎないことから、「電気通信役務」に当たらない。

 

 

2.事業者のサービスが「電気通信事業」に当たるか。

当たる⇒3へ

当たらない⇒外部送信規制の対象外

 

電気通信事業とは、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業をいう(法2条4号)。

 

(1)「他人の需要に応ずるため」

 

たとえば、個人や企業等の専ら自己の情報発信のためのホームページの開設や、自己のメールアドレスのためのメールサーバの運用は、自己の需要のために提供しているものであり、「他人の需要に応ずるため」に当たらない。

 

【具体例】会社情報、会社のニュースリリース及び採用情報などしか掲載していない会社のホームページは「電気通信事業」に当たらない。

 

【具体例】マンションの入居者で構成される管理組合が入居者のみが利用できるインターネット接続サービスを提供することは、自己の需要に応ずるものであるから、「電気通信事業」に当たらない。

 

また、電気通信役務の提供を前提としない本来業務の遂行手段として活用している場合は、電気通信役務を「自己の需要」のために提供するものであり、「他人の需要に応ずるため」に当たらない。

たとえば、自社商品やサービスをオンラインで販売する場合は、「他人の需要に応ずるため」に当たらない。ただし、オンラインニュースや映像配信など、自社の商品やサービス自体がインターネットで提供される場合は、電気通信役務の提供(情報の送信)を前提としているため、電気通信事業に当たる。

 

【具体例】自社商品を会社のホームページでオンラインで販売することは「電気通信事業」に当たらない。

 

【具体例】顧客の契約情報や請求情報をウェブサイト上で閲覧できるようにすることは、契約書、約款、請求書等の提供手段としてウェブサイトを利用するものであるから、「電気通信事業」に当たらない。

 

【具体例】企業が電話等により受け付ける顧客からの問合せ等に加え、又はこれに代えて、電気通信設備(サーバ等)を用いてメールフォームやチャットボット用のWebサイトを開設し、インターネット経由で顧客からの問合せ等を受け付けるものは、自己の需要に応ずるものであって、他人の需要に応ずるものではないことから、「電気通信事業」に当たらない。

 

(2)「事業」

 

「事業」とは、主体的・積極的意思(提供条件の公示等客観的に判断されるもの)、目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、非常事態時に緊急、臨時的に提供するもの、一時的に提供するもの、提供者が利用者の法的権利に応えて提供するものは事業に該当しない。

 

【具体例】大震災発生時の緊急措置として電気通信設備を市民に提供することは「事業」に当たらない。

 

また、電気通信役務以外のサービスに付随して電気通信役務の提供を行うことは含まない(ただし、そのすべてが「事業」に該当しないのではなく、電気通信役務の提供が独立した事業として把握できるか否かを踏まえて判断される。)。

 

【具体例】ホテルの宿泊客にWiFiや電話の使用を許可することは「事業」に当たらない。

 

【具体例】商業施設や観光施設等の施設管理者等が、来場者が利用できるように施設内にアクセスポイントを設置して、公衆無線LANサービスを提供することは、独立した事業として把握できないため、「事業」に当たらない。

 

 

3.電気通信事業を「営む」ことに当たるか。

当たる⇒4へ

当たらない⇒外部送信規制の対象外

 

電気通信事業を「営む」とは、利用者に対して、電気通信役務を反復継続して提供して、その対価として料金を徴収することにより電気通信事業自体で利益を得ようとすることをいう(現実に利益が上がるか否かは要件とはならない。)。

また、名目上電気通信役務の提供について料金を徴収していないとしても、例えば広告収入を得るなど、実質的に電気通信役務の提供により利益を上げているとみなされるときには、電気通信事業を「営む」ことに該当する。 

 

【具体例】営利法人が電気通信役務の提供を行う場合でも、例えば自己の社員や社宅、グループ企業等に対して電気通信役務を提供する場合等、無償・原価ベースでこれを提供する場合は電気通信事業を「営む」ことに当たらない。 

 

【具体例】公益法人や非営利団体であっても、原価を償って多少利益が出る程度の有償性をもって電気通信役務を提供する場合は、電気通信事業を「営む」ことに当たる。 

 

 

4.法164条1項1号または同項2号の適用除外に該当するか。

当たる⇒外部送信規制の対象外

当たらない⇒登録・届出事業または第3号事業に当たり、外部送信規制が適用される可能性あり 各論2へ

 

専ら一の者に電気通信役務(当該一の者が電気通信事業者であるときは、当該一の者の電気通信事業の用に供する電気通信役務を除く。)を提供する電気通信事業(1号)

 

【具体例】親会社にのみ電気通信役務を提供する場合

 

その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備その他総務省令で定める基準(設置する線路のこう長の総延長が5km)に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業

 

かなり小規模な設備による電気通信事業である。