目次24、「懺悔の涙は甘い蜜の味がする」 | カメラマン 兼 作家の備忘録

カメラマン 兼 作家の備忘録

あの頃まだJekyllから時々Hydeだった、だが今ではもうすっかりハイド時々ジキルなのだ。

 

 最近、旦那と距離感を感じていた彼女、そんな時SNSで知り合った俺と、数十回に及ぶ

文字のやり取りだけで親近感が芽生えたというか気持ちはぐっと近づいたのだろう。

その日以来、俺の事が頭の中を占め、段々と妄想が膨らんで気になる存在となり、

会ったこともない男に恋をする、そしていつしか、逢いたい気持ちが勝り。

 

 「一線を超えても構わない」と、覚悟が決まる。

 

2度目の再会

俺たちはまるでデジャブのように、同じ場所へと足を進めた。

 

 

 

 

 「今日は子供の幼稚園の遠足だったけど、どうしても老人ホームで大事な研修があると

ウソをついて『じゃ、僕が代わりに行くから心配しなくていいよ』と言う旦那に任せて来た」と。

 

暫くすると彼女の携帯にLINEが入った。

それを見た彼女は「あっ、パパからだ~」と言ってベッドに腰掛けて携帯を見ている。

 

そしてうつむくといきなり泣き出した。

 

俺はびっくりして「どうしたの?」と訊いても「うっうっ、うっ~」と泣いていて何も言わないので

更に訊くと。

 

「パパが、私が作ったお弁当を今子供と食べている・・・・

  ママの作ってくれたお弁当・・・・おいしいよって、グスッグスッ、わたし何やってんだろ~」

と言って更に泣き出した。

 

俺はこれを見て「ゾックゾク」した。

 

今この女は旦那への裏切りをこころから後悔している。

 

子供と私を愛してくれている、こんな優しい旦那を裏切って今、私は何をやってるんだろう

という罪悪感と背徳感。

 

旦那を裏切っている自分が許せない自責の念、

懺悔しても償えきれない後悔でいっぱいの気持ち。

 

 

 

 

「もう終わりにしたい」と言ってきて、暫くしてからLINEが来た。

 

「やっぱり仁史のことが忘れられない、逢いたい、仁史に対する思いがまるで潮騒の

ように押し寄せては戻り、戻っては押し寄せてくる」・・・と。

 

SNSの中で、見えない共有感に引き寄せられた俺と、束の間の逢瀬を重ね

ひと時のこころとカラダの隙間を埋めた。

そしてカラダが満足し、こころの中のグラスが満ち溢れると同時に旦那への

裏切りに後悔し苦悩する日々。

 

しかし、一度知った違う花畑の甘く切ない蜜の味を絶つのは困難で、

またいつか甘い蜜を求めてしまう・・・やっぱり貴方の事が忘れられないと。

 

そしてまた、裏切りに後悔し苦悩する日々を繰り返す。

 

 

 

 

待望の第2弾「続・Hyde時々Jekyll」9月1日文芸社より発売

 

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