人吉温泉 新温泉(九州温泉道)〈昭和初期の面影残す郷愁の湯〉@熊本県人吉市紺屋町 | いろいろアウトな日々

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ただ、一さいは過ぎて行きます。

 
2018年のお話です。
 
はい、じゃあ今日からまた
「ヘタレと行く!」シリーズ第2弾、
2018年4月18日~20日
2泊3日「熊本・大分温泉巡り旅」、
続きを再開していきます。
 
忘れ物の財布を届けて感謝された
『元湯』を後にしてやって来ました
1日目2018年4月18日7湯目は……
 
 
 

『人吉温泉 新温泉』です。
 
青いトタン屋根が目に鮮やかな
これまたレトロ感たっぷりの
温泉ですね。
 
新温泉は
昭和6年(1931年)創業の
85年以上続く浴場。
 
人吉温泉の中でも
歴史ある浴場のひとつなんですよ。
 
 
 
駐車場は建物の真ん前に
5台分ほどのスペースがあります。
 
 
 
木造のつくりや看板の感じも
雰囲気ありますね~。
 
 
 
営業時間をご確認ください。
(2018年4月現在)
 
僕らは営業開始20分前の
12時40分頃に到着。
 
で、外観の写メなどを撮っていますと
オーナーの女性があらわれまして。
 
早く入れてもらえないかと
お願いしてみたところ、
「あと10分ほどお待ちください」
とのお返事をいただきまして、
結局、営業開始時間より
約10分早く入れてもらえることに。
 
 
 
男湯の入口。
すでに趣深い。
 
 
 
新温泉も
「九州温泉道」の対象施設ですので
「御湯印帳」に通算11個目の
スタンプをゲットです。
 
 
 
おお!!!
 
なんとも渋い!渋すぎる!
 
脱衣場からして
見事に鄙びきっています。
 
何でも新温泉は
昭和6年創業当時の面影を
ほぼそのまま残している
浴場なんだそうですよ。
 
まさに「三丁目の夕日」の世界で
昭和初期のレトロ感満載ですが、
清掃はよく行き届いていて
むしろ清々しさすら感じます。
 
脱衣場にはロッカーはおろか
棚さえありません。
 
奥のスペースが
一段高くなっていて……
 
 
 
脱衣カゴが置いてあり、
衣類はこのカゴに入れます。
 
 
 
逆アングルの方向には下足棚があり、
その上に常連さんのものと思われる
お風呂道具が置いてあります。
 
あ、入浴料は300円ですね。
(2018年4月現在)
 
再び脱衣場に目を転じますと……
 
 
 
この木のベンチも
ずいぶん年季が入っています。
 
横の灰皿もこの空間に
よくマッチしていますね。
 
もちろん
この昭和初期のままの空間には
禁煙や分煙などといった
小賢しい概念はありません。
(個人の感想です。笑)
 
 
 
なつかしい感じの
マッサージチェアがあったり。
 
 
 
体重計や謎の器具?が
置いてあります。
 
 
 
 
竹ふみをするヘタレ(笑)。
 
 
 

このペンキ画の広告看板も
創業当時のものなんだとか。
 
広告主はとっくに
廃業しているそうですが(苦笑)。
 
にしても、
電話番号が「868」としか
書かれてないのですが、
当時はこんな番号で
電話がかかったんですね。
 
 
 
気になる古い写真がありました。
 
 
 
これは
「上総掘り(かずさぼり)」という
掘り抜き井戸の工法の写真です。
 
 
 
オーナーの女性が言うには
昭和初期に伝わった
この上総掘りの技術を用いて
新温泉は掘削されたのだとか。
 
人力で300m以上も掘るため
1年以上かかったそうです。
 
いやー、しかしまあ何だ、
新温泉の脱衣場は
なんともノスタルジックですね!
 
いわば温泉の歴史博物館で、
この浴場自体が文化財のよう。
 
「今ではボーリングの
許可がどんどん下りて、
500m掘るのもすぐですし。
ポンプも強力ですしね」
と、オーナーの女性。
 
どことなく
やるせないような口調が
とても印象的でした。
 
 
 
古びた手書きの温泉紹介。
 
泉質は単純温泉となっています。
 
その他の詳細は不明ですが、
もうそんなこと
どうだっていいような
気分になってきます。
 
 
 
おおお!!!!!
 
浴室もこれまた素晴らしい!
 
この浴室も
昭和6年創業当時の姿を
85年以上にわたり
ほぼそのまま
とどめているんだそうです。
 
浴槽は2つ。
 
ですが、現在では
左側の浴槽しか使われていません。
 
これは湯量(源泉湧出量)の
減少によるもので、
新温泉ではこの湯量減少により
一時休業されていたことも
あるそうです。
 
左の浴槽から右の浴槽へと
ホースでお湯が注がれていましたが、
右の浴槽にはほとんどお湯が
たまっていませんでした。
 
また、
オーナーの女性が言うには
「若い人の中には
ちょっと中をのぞいてみて
シャワーがないからと言って
帰る人もいる」
とのこと。
 
まあ温泉に求めるものは
人それぞれなんでしょうが、
なんだかせつない話です。
 
 
 
左の浴槽。
 
タールのような
黒っぽいお湯です。
 
甘いようなアブラ臭が漂い、
間違いなくモール泉ですね。
 
 
 
源泉が投入され……
 
 
 
静かにオーバーフローしていきます。
 
加水・加温・循環・消毒一切なしの
完璧な源泉かけ流しです。
 
すっかり黒褐色に変色した床にも
85年以上の歴史を感じますね。
 
 
 
写メではわかりませんが、
お湯の中には
黒茶色の湯の花が舞っていました。
 
 
 
飲泉用のコップが置いてあり
飲んでみますと、
甘いような薄いタマゴ味。
 
湯口付近ではモール臭に加え、
タマゴ臭も感じられます。
 
 
 
源泉投入直下お湯の温度は
42℃半ばくらい。
 
 
 
浴槽内温度は約41℃で
少しぬるめのお湯です。
 
 
 

浴感はかなり強めの
ツルスベ感があります。
 
 
 
とろっとした肌触りの
マイルドなお湯が気持ちいい~。
 
 
 
ぬるめの極上モール泉につかりながら、
まるで昭和の時代に逆戻りしたような
どことなくなつかしい郷愁にひたる、
素敵なひと時を過ごせる、新温泉。
 
このかけがえのない浴場が
いつまでも存続し続けることを
願ってやみません。