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吉野・むかしヤサイ

奈良・吉野の野菜ソムリエ・宮坂敏史が、
吉野に「むか~しからある野菜」、吉野の在来野菜・在来種、それに携わる作り手の皆さんの知られざる情報を「ありのままに」「おもむくままに」発信しています。

【川上村 とうぢしゃ】

「とうぢしゃ」。
ふだんそうの一種で、日本種と思われます。
おばあちゃんたちが、親の代から自家採種していて、育てているのは今やたった数人といわれてます。
※自然に生えたものです。

ふだんそうの仲間で、「スイスチャード」というのがありますが、コチラは西洋種です。

こちらは、同じ畑で育てられていた、
市販のタネの「うまい菜」。

葉の厚さは薄めで波打っていて、茎が太めで白く、葉と茎のコントラストが特徴です。
そして、茎が立ってます。(西洋種のふだんそうの特徴です。)


一方でとうぢしゃは、まず、葉っぱが分厚い。
キャベツの外葉くらいの厚みがあり、表面比較的平らで小松菜のような(ニスを塗ったような)手触りです。
そして、葉はタアサイのように寝ています。




「とうぢしゃ」のタネです。

【川上村 とうきび】

在来種の「とうきび」。
明治以前から毎年自家採種され、村で唯一の在来種といわれています。
とうきびは赤っぽいものが多い傾向がありますが、
こちらのとうきびは赤くありません。

周囲が標高の高い山が多いせいで、日照時間が短いせいでしょうか?

【川上村 ちしゃ】


「ちしゃ」
サニーレタスやリーフレタスの原種。
葉っぱに山椒味噌や酢味噌を塗ってご飯に包んで食べられているそうです。
2020年1月にお伺いした際に撮影したものです。

 


で、夏場になるとこんな感じに。
採種用として育てているものです。
2019年7月に川上村の2か所の集落にお伺いした際に撮影させて頂きました。

【天川村 どろがわいも】

天川村洞川地区の在来野菜「どろがわいも」。

7月初め、生産者さんところにお伺いし、対面しました。

天川村洞川地区で昔から作られていたジャガイモの一種。

薄いピンク色の皮で煮崩れしにくく、シットリとした食感が特徴。主にカレーや煮物などの料理で使用され、そのおいしさから村民に親しまれてきたそうです。

また、生産者さん曰く、
野迫川村で古くから作られているジャガイモ「野川イモ」にも似ているそうです。

他に食べ方としては、
昔は加熱したてのイモをお砂糖につけて、オヤツ代わりに食べられていたそうです。
そしておイモが冷えたら、焼いて醤油をつけて食べられていたとか。
おかゆに入れて食べられていたこともあったそうです。

一般的に「二度いも」というと、男爵を指しますが、
(「デジマ」という品種を指すことが多いです。)
天川村では、二度いもというと、「どろがわいも」のことを指すそうです。

こちら、どろがわいもの花。

白くてカワイイお花です♪



現在、農林水産省「産地ブランド発掘事業」の一環として、
洞川地区の有志の方や農業委員会を中心に、
「どろがわいも」による地域活性化の取り組みが行われています。

この事業の中では機能性成分の調査も行われており、
「クロロゲン酸」が男爵やメークインの10倍(100gあたり)も含まれていることが判明。
また、皮のピンク色の成分はアントシアニンとのこと。

ちなみにクロロゲン酸はおもにゴボウ(ゴボウ茶)に含まれるポリフェノールです。

《参考》
・奈良県農業会議Webサイト
http://www.nara-kaigi.jp/wadai_h2608tenkawa.htm

・農林水産省「産地ブランド発掘事業」
http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_zirei/brand/attach/pdf/170920-10.pdf

【野迫川村 野川キュウリ】

久しぶりの投稿となってしまい、失礼しました。

 


奈良・野迫川村の在来野菜「野川キュウリ」。

かつて、林業をされる方が夏場、水分補給の為に野川キュウリの塩漬けを山仕事の合間に食べられていたとのこと。
いわば「スポーツドリンク」の代わりですね。

それもそのはず。糠漬けにすると普通のキュウリよりもジューシーに仕上がります。


半白キュウリの先祖の1つにあたるそうで、食感はシッカリしてますが、水分は他の半白キュウリよりも多い気がします。


しかも断面がおにぎりみたいです。