吉野・むかしヤサイ

吉野・むかしヤサイ

奈良・吉野の野菜ソムリエ・宮坂敏史が、
吉野に「むか~しからある野菜」、吉野の在来野菜・在来種、それに携わる作り手の皆さんの知られざる情報を「ありのままに」「おもむくままに」発信しています。

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【川上村 コナ】

 


「コナ」


こちらはタネとり用。


ちなみに、収穫したものはこんな感じ。
(写真は6~7年前に川上村某所にお伺いした時に拝見したものです)

 

 



地元の郷土料理に、「菜めし」という、
菜っ葉のお漬物の炊き込みご飯があります。

地元の郷土料理の本では白菜の漬物と書かれていますが、
コナが本家といわれているそうです。

以前、生でかじって見たことがあります。
独特の山菜に似た苦味がありますが、食べにくいわけでもありません。

見た感じ、「しろな」みたいですね。

しろなと生で食べ比べしたのですが、むしろ、しろなの方が苦味が強く、食べにくいのです。

根元の姿も、しろ菜となんか違う気が・・・


葉っぱも、しろ菜にしては鮮やかな気がしましたし、
形も白菜の外葉のような、ややトゲトゲしさを感じました。
 

【川上村 あきまめ】

「あきまめ」とは、つるありインゲン豆の一種。
7月頃に種まきをして、9月~11月に収穫します。
つるが結構伸びます。
支柱をしっかり立てないと、台風で倒れてしまうそうです。


某所にお伺いした際、白色、紫色、黒色を育てているというおばあちゃんに出会いました。


写真は紫色のあきまめ。

このあきまめ。
また、野迫川村の「キョロ豆」と大変良く似ていました。

こちら、訪問先の川上村某所のあきまめ。

こちら、自宅から偶然出てきたキョロ豆。
以前、とある方からタネを頂き、育てたことがあります。
(3~4年ほど前のタネの為、発芽は期待できません。)

【川上村 白いんげん】

「白いんげん」
この2種類、どちらもとあるおばあちゃんが育ててらっしゃいます。

どちらも同じ白いんげんですが、タネを頂いたところが違うとのこと。


左手に持っておられるが、ご近所のUさんから頂いたもの。

仮に「Uマメ」とします。

 


右手が、ご近所のHさんから頂いたもの。
仮に「Hマメ」とします。


1粒ずつ拡大したもの。
左が「Uマメ」、右が「Hマメ」。

Uマメのものはさやが長く、さやいんげんとして食べてもおいしいそうです。
Hマメのものはさやが短いそうです。ただ、1粒あたりの重さは圧倒的にこちらのほうが重いです。

Uマメから頂いたものは、40年栽培しているそうですが、だんだんさやが小さくなってきたそうです。

【川上村 渋柿】

こちらの柿。
柿渋用の渋柿で、樹齢は少なくとも80年以上。100年かも?とのこと。
最初、干し柿によく使われる筆柿のたぐいかと思いましたが、筆柿とちょっとカタチが違います。

その柿の木。高さは相当あります。

柿農家の知人を通じて、奈良県南部農林振興事務所で
今回の聞き取りで撮影させて頂いた柿および樹木の写真を見てもらい、以下の回答を頂きました。

 「『法連坊』など干し柿用の品種には似ている。
 ただ、柿の品種は1000種類以上あり、特に名前のない実生のものも
 多いと思われるため、品種を正確に特定するのは難しい。」

との事です。

『法蓮坊』は、奈良県五條市西吉野町の在来種で、かなり渋く(タンニン含有量が多い)、干し柿や柿渋用に使われていた渋柿です。

【川上村 みがらし】

「みがらし」
からし菜(黄からし菜)の一種。
つぼみ(とう)を摘み取って、さっと茹でて塩を加えて軽くもむと、ツンッとした辛さがたまらない一品になる「みがらし」

からし菜の類の辛み成分はアリルイソチオシアネートという成分で、細胞が壊れるとより辛みが引き立つ性質があります。
さっと茹でて塩を加えて軽くもむことで、細胞が壊れて辛みが引き立つのですね。

このまま菜の花を咲かせて、収穫した実は、練りがらしの原料になります。