双葉町町長の辞任の言葉 | 富山よしのぶオフィシャルブログ

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双葉町町長がリコールを受けて辞職をした。



以下のような声名を発表している。



井戸川町長の心のうちが語られているが、

何故かメディアや国の所見とはズレがある。


霞ヶ関からこんなにも近い埼玉に避難しているというのに、


やはり、国や福島県と立ち位置が違うのか、オリンピック誘致や、

NHKドラマ八重の桜の観光アピール、東電再建などで、

原発被害からの復興支援の力が削がれてしまっている感がある。



様々な思惑によって、双葉町は混乱を来している。



もちろん双葉町の混乱の前に、国や県がそもそも混乱しているのだろう。


双葉町の避難者や住民の暮らしの混乱ぶりを双葉町の政治行政の問題として報道されている感があるが、国が責任転嫁を意図的にしてきたのではないかとさえ思われる。



町長の声名も一つの見解かもしれないが、信実の部分が垣間見える。



双葉町は永遠に
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20130123.html/



以下抜粋―




私たちは前例の無い避難という過酷な状況に置かれています。


いつまでも海原を漂流するわけにはいきません。


早く上陸地を国が準備して、再興できる日を求めてきました。



しかし、時間が足りませんでした。


放射能のないところで平和な、皆が集える町ができることを祈り町民の


安寧を願って、私は本日、双葉町長の辞職申し出をしました。


私の今までの取り組みから次のことを申し上げたいと存じます。




1 事故に負けない

原発事故で負けるということは、今のまま、何もしないことである。

双葉町民には負けてほしくない。勝ってそれぞれ生き抜いてもらいた

い。今はそれぞれの地に離れて住もうとも、廃炉が完了して故郷から放

射能の危険が去り、自然と共生出来るようになったら再結集しよう。



我が子どもたちへ、この悔しさを忘れることなく、


何としても生き抜いて何倍も幸せな双葉町を再建していただきたい。



そのためにも負けないで学び、求められる人になれ。世界の雄になって

もらいたい。

(1) 負けないということは以下のことを忘れないこと

①避難してくださいと国から頼まれたこと。


②東電と国は事故を絶対起こさないと言っていたこと。


③町と県と東電には安全協定があること。


④事故は我々が起こしたものではないこと。


⑤正式な謝罪と見舞いがないこと。(形のあるものではないこと)


⑥自分の権利は自分以外に行使できないこと。


⑦被ばくさせられたこと。

⑧放射能の片付けをさせられること。


⑨20msv/yで町へ帰ること。(一般公衆の限度は1msv/y以下)

(2) 勝つためには何をしなければならないか

①事故の原因者を確定すること。


②我々の受けた損害のメニュー作成すること。


③損害の積算をすること。

④回復の請求をすること。

⑤回復の限界と代替を請求すること。(仮の町、借りの町)


⑥立証責任の不存在を共有すること。


⑦気づくこと。


⑧水俣の住民の苦難を学ぶこと。


⑨広島・長崎の住民の方に聞くこと。


⑩避難先の皆さんの恩を忘れないこと。


⑪多くの町民が健全な遺伝子を保つこと。


⑫ウクライナの現実を確認して同じテツを踏まないこと。


(3) 町民の力を結集すること

①役割分担をすること。

・汚染調査 ・除染問題 ・賠償問題

・住居問題 ・職場問題 ・健康問題

・墓地問題 ・学校問題 ・中間貯蔵施設問題


などの調査研究する組織をつくり町民の不利益を解消すること。



②事故調査委員会をつくること

事故の報告書には避難を強制された住民の実態が語られていない。外


部に任せていたらいい加減に処理されてしまうので、委員会を町独自に


構成して正しい記録を残さなければならない。




2 主張する権利を行使する

①見守り隊の組織

②法律家の組織

③文書学事の組織

④ボランティア活動組織

⑤被ばく被害者団体の組織


などを組織して国民の主権と被害者の復権を勝ち取らなければならな

い。




3 この世には先人の教えがある

(1) 温故知新


歴史から新しい発想が出てくる。自分が直面している問題について語ら

れています。遠くは私たちの祖先である標葉藩が相馬に滅ぼされたこ

と、会津藩が長州に負けたこと。


しかし、負けても滅びる事もなく私たち

は生きてきました。先人達に感謝し、これからは私たちが町の存続を引き継ぎ後世に繋がなければなりません。


今度の事故は前例がありません。今は子どもたちを放射能の影響によ

るDNAの損傷を避けて暮らし、幾多の困難に負けずに双葉町の再興に

向かって、生き延びましょう。



(2) 人生に五計あり

中国、宋時代の朱新仲が教訓として伝えた人生の処世訓とされるもの

です。生計、身計、家計、老計、終計があり、生き抜く考えが記されてい

ます。

(3) 八正道と言う道

昔、釈迦がインドで行われていた求道について、新しい道があることを説

いたとされています。

正見 : 正しい物の見方

正思惟 : 正しい思考

正語 : 偽りのない言葉

正業 : 正しい行為

正命 : 正しい職業

正精進 : 正しい努力

正念 : 正しい集中力

正定 : 正しい精神統一



今の私たちにはこのような精神にはなれません。この言葉は東電と国あ

るいはこの事故を被害者の人権を無視して矮小化しようとしている勢力

に猛省を促す言葉として捉えてほしい。


願わくば、双葉町の子どもたちに人生の教訓の一部として、

心に刻んでほしい。


この事故で学んだことは多い。我国でも人命軽視をするのだと言うことがわかった。


国は避難指示と言う宣戦布告を私たちに出した。武器も、手段も、権限

もない我々はどうして戦えるだろうか。



白河市にアウシュヴィッツ博物館がある。ナチスがユダヤ人を毒ガスで

虐殺したことは衆目の事実だ。


福島県内では放射能という毒で県民のDNAを痛めつけている。

後先が逆だ。この状態から一刻も早く避難をさせること以外に、

健康の保証は無い。その後に十分時間をかけて除染をやれば良い。


人工放射能に安全の基準を言う実績が少ない。20msv/yで住めると言う人が家族と一緒に住んで示すことが先だろう。

その安全が確認出来たら福島県民は戻ればいい。


これ以上モルモットにするのは、外国の暴君が国民にミサイルを撃つのと変わり無い。


福島の復興なくして日本の再生はないとは、人口減少の今、将来の担

い手を痛めつけていては、真に福島の復興には繋がらないと心配してい

る県民は少なくないと思う。双葉町は原発を誘致して町に住めなくされ

た。原発関連の交付金で造った物はすべて町に置いてきました。


原発の誘致は町だけで出来ない、県が大きく関わってはじめて可能とな

る。私たちは全国の人たちから、「お前たちが原発を誘致しておいて被害

者面するな」という批判を受けている。


私たちはどこにいても本当の居場所がない今、

苦悩に負けそうになりながら必死に生きている。


子どもたち、高齢者、家計を支えなければならないお父さん、お母さんたちの悲鳴を最初に菅総理に訴えた。



変わらなかった。



そのために私は野田総理に国民としての待遇を訴えたのです。



しかし、今の町民の皆さんは限界を超えています。


何とか国には町民の窮状を訴え、町民には叱られ役をやり、マスコミに

出されるようにしてきました。


県にも窮状を訴えています。最近も質問をしました。回答は具体的な内

容ではなく失望しました。知事は福島の復興のために双葉町に中間貯

蔵施設を造れと言うので、双葉町の復興はどうするのですか、と聞くと答

えてくれません。そこで、踏み込んで私に町をくださいと言いましたがや

はり答えませんでした。


これでは話し合いになりません。


環境省の局長にどうして双葉に二つの場所を決めたのですかと聞いた

ら、分かりませんと言いました。では会議録をみせてくださいと聞いた

ら、後日ありませんと言う返事でした。


このようなことで、調査だけで建設はしないからと言われて、


ハイいいですよとは言えません。

町には古くから先人が築いてきた歴史や資産があります。歴史を理解し

ていない人に中間貯蔵施設を造れとは言われたくありません。町民の皆

さんが十分議論した後に方向を決めていただきたい。若い人に決めても

らうようにしてほしい。



今まで支えていただきました町民の皆様、


双葉地方各町村をはじめ福島県内各市町村の皆様、


国及び福島県そして事故発生時から避難救済にご支援いただきました国民の皆様、


国会議員の皆様、全国の自治体の皆様、


埼玉県と埼玉県議会の皆様、


県民の皆様、加須市と加須市


議会の皆様、市民の皆様、さくら市の皆様、医療界の皆様、


福祉関係の皆様、貴重な情報の提供された方、



最後に国内並びに世界中から

ボランティアのご支援をいただきました皆様、


この避難を契機にご支援いただきました多くの皆様に支えられて、ここまで来ることができました。



心から感謝を申し上げまして、退任のご挨拶に代えさせていただきます。




長い間誠にありがとうございました。

平成25年1月23日

双葉町長 井戸川 克隆





という内容。


まとめると、国は双葉町に使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設を迫


り、かつ県は年間20ミリシーベルトまでなら住めると言い(かつて県の放


射線アドバイザーであった山下教授は100ミリシーベルトまで平気だとほ


ら吹いてた時期もある)、双葉町の避難者が町に帰る帰らないで翻弄さ


れ、中間貯蔵施設建設の話で故郷の念まで奪われる議論になり、今の


避難者への対応がなく、新しい町への集団避難さえ叶えられていない。




結果、今もなお避難所生活を余儀なくされているという現状がある。


どこの被災地でも起きている問題が根本にある。



国、県、市町村が一丸となっていない。



またそれを取りまとめる道徳的リーダーシップがあまりにも数少ないという事実。



事を改善し解決の方向に動かすには沢山の力が集結しないといけない

問題だ。


日本人が今こそ力を合わせてやらねばならぬことなのではないだろう

か。